数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

平方根と確率(2018都立国立)

確率の問題も、解き進める方針をしっかり定めてから臨まないと、“漏れなく重複なく”数えあげることが難しくなってしまいます。


【問題】
1~8の整数が1つずつ書かれた8枚のカードが入っている袋がある。

この袋から1枚のカードを取り出して戻す作業を2回繰り返す。

1回目、2回目に取り出したカードに書かれた整数を順にm,nとするとき、
900/√(mn)が整数となる確率は?


【解答】
まずはmnの値の範囲を、
「1×1≦mn≦8×8」
としっかり把握しておきます(鉄則!)。

次に900=2×2×3×3×5×5と素因数分解します。

これより、
「900/√(mn)が整数となる」
ためには、
「mnが平方数かつ√(mn)が900の約数」
となる必要があります。


ここまでくれば、後は“漏れなく重複なく”数えあげるだけです。

mn=1のとき~(m,n)=(1,1)

mn=4のとき~(1,4),(2,2),(4,1)

mn=9のとき~(3,3)

mn=16のとき~(2,8),(4,4),(8,2)

mn=25のとき~(5,5)

mn=36のとき~(6,6)

(※mn=49,64のときは題意を満たさないことに注意。)

∴確率は10/8×8=5/32


確率の問題は、1つでもカウントミスがあれば0点です。

小問集合では確実に点を確保したいので、正確かつ素早く求める練習を積んでおきましょう。

3桁の自然数(2019東海)/小学生用解説

気を抜かずに短時間で全て正しく解ききれるか、が大切です。

小学生でもできるはずですが、時間は若干かかるかもしれません。
中学生ならば、数分で正しく解ききれるようにしましょう。


【問題1】
各位の数の和が7で、百の位の数と一の位の数を入れ替えると、もとの数より大きくなる。
このような「3桁の自然数」はいくつあるか?

【問題2】
ある二つの位の数を入れ替えると、もとの数より90大きくなる。
このような「3桁の自然数」はいくつあるか?



(答えは【1】「9個」【2】「80個」)



こういう問題を解く際に、該当する数を行き当たりバッタリで思いつくままに挙げていくと、失敗する可能性が高くなります。

まず解き進める方針をしっかり定めてから、挙げていきましょう。


【解説-1】
この題意を満たすには、
「百の位の数より一の位の数の方が大きい」
というところまでは気付くはずですね。

しかし、ここで気を抜くと、
「各位の数の和が7」
という条件を忘れてしまうことがあるので注意しましょう。

また、
「同じ数字を複数回用いても良いか」、
「0を用いても良いか」、
などの条件をしっかりチェックしておきましょう。


百の位の数と一の位の数の差が小さいものから順番に列挙していきます。
(※差が大きいものからでも構いません。行き当たりバッタリではなく“順番に”が大切です。)

142,133,124,115,106
223,214,205
304

上記のように列挙していけば、数え漏れは防ぎやすくなるはずです。


【解説-2】
勘のいい子ならば、
「差が90ということは、一の位の数が同じはずだ・・」
「・・ということは、入れ替えたのは百の位の数と十の位の数だ!」
と気付けるでしょう。
これに気付けないと、時間がかかってしまう場合が考えられます。

では、なぜ中学生ならば数分で解いてしまえるのでしょうか?

それは「文字」を用いて「方程式」を立てて考えるからです。


もとの数の、
百の位の数をA(1≦A≦9の整数),
十の位の数をB(0≦B≦9の整数),
一の位の数をC(0≦C≦9の整数),
とまずおきます。

(1)AとBを入れ替えた場合
もとの数との差=90(B-A)となり、
B-Aが1となれば題意を満たす。

(2)AとCを入れ替えた場合
もとの数との差=99(C-A)となり、
題意を満たすことは不可能。

(3)BとCを入れ替えた場合
もとの数との差=9(C-B)となり、
C-B=10となれば題意を満たすが、
C-B=10となること自体が不可能。

よって、(1)の場合のみ考えればよいとわかります。

「B-A=1となるA,Bは8通り」あり、
Cにくる数は「0~9の10通り」あるので、
全部で8×10=80通り。

※ここで注意したいのは、
「各位の数の和が7」
という条件は【問題1】のみのものであり、
【問題2】で用いてはいけないのは言うまでもありません。
実際の入試問題でも、設問が2つ続いており、注意力をみている訳ですね。

不等式を活用して解く整数問題(2019ラ・サール)

前回の問題(2018年)に続いて、不等式を活用して整数を絞り込んでいく問題です。


【問題】
xについての2次方程式
(xの2乗)-2x-n=0(nは自然数
の解の1つを小数第一位で四捨五入すると5になる。
このような自然数nのうち、最小のもの最大のものを求めよ。


【解答】
まず正の方の解を
x=1+√(1+n)
と求めます。

題意より、
4.5≦1+√(1+n)<5.5
という不等式が立てられます。

あとは、この不等式を変形させていくだけですね。

3.5≦√(1+n)<4.5

(3.5の2乗)≦1+n<(4.5の2乗)

11.25≦n<19.25

∴最小のnは12、最大のnは19

整数・小数部分(2018ラ・サール)

対称式絡みで出題されることが多い分野ですが、少し変わった角度からの出題です。


【問題】
正の数aの小数部分をbとするとき、
(aの2乗)+(bの2乗)=30を満たすa,bは?


【解答】
小数部分がbなので0≦b<1

よって0≦(bの2乗)<1

代入して0≦30-(aの2乗)<1

整理して29<(aの2乗)≦30


これより、「aの整数部分は5」とわかります。

つまり「b=a-5」ですね。


あとはこれを与式に代入して2次方程式を解くだけです。

aが正であるので、

a=(5+√35)/2、b=(√35-5)/2

と求まります。


答えに無理数が入っていることからわかるように、“力業”で太刀打ちするには無理がありますね。

「一つの不等式を立てて変形させながら理詰めで絞り込んでいく方法」も“頭の中の引き出し”に組み入れておきましょう。

高校課程の数学に向けての訓練となります。

割る数と余り

自然数同士の除法においては、
「0≦(余り)<(割る数)」
をしっかりと再確認しておきましょう。

下記問題は「(旧)法政女子(2018)」の問題ですが、小学生でも解けると思います。


【問題】
104を自然数Aで割ったとき、商と余りが等しくなるようなAは?


【解説/小学生編】
商と余りが等しくなる」ということから、棒グラフなどを描いて考えましょう。

「商と余りを□」とすると、
「104から□を取り除いてA等分すると□になる」
と問題を読みかえることができます。

つまり、
「□がA個と1個」あるので、
「□×(A+1)=104」
と気付ければ解けますね。

後は、ゴリゴリと求めていって構いません。
(なお、注意点は「中学生編」を参照。)


【解説/中学生編】
まずは商と余りをmとおき、
「0≦m<A」をしっかり確認しておきましょう。

そして題意より、
104=Am+m=m(A+1)

ここで「m<A+1」より、
「104を2数の積に分解すると大きい方がA+1」とわかります。

よってA+1に該当する数は13,26,52,104より、
∴A=12,25,51,103
(全て題意を満たします)


※「0≦(余り)≦(割る数)-1」
と考えた方が間違えにくいかもしれません。

連立方程式(2019國學院久我山)

甲子園出場を祝して1問抜粋します(「小学生向け」もあり)。

【問題】
(1)A+B+2C+D=1
(2)A-2B+C-D=-2
(1),(2)式を連立させて解くと、A,B,C,Dのうち0でないものは1つだけであるとき、A,B,C,Dの値を求めよ。
(※表現は一部変更)

小問集合の中の1問です。
2~3分以内で解きましょう。


上式は負の数が入っているので、小学生でも解けるように変えてみましょう。

【問題/小学生向け】
(1)A+B+2C+D=4
(2)A-2B+3C-D=6
(1),(2)のどちらの式も成り立つようなA,B,C,Dの値を求めよ。
ただし、A,B,C,Dのうち0でないものは1つだけであるとする。

中学入試にも出題されそうな問題ですが、サッと解いてしまいましょう。


【解説】
「0でない」ものを、A~Dに当てはめて考えてみればいいだけですね。

そうすると、
A,C,Dのときは(1),(2)で違う値となりますが、
Bのときは(1),(2)共に「B=1」となりますね。
∴A=0,B=1,C=0,D=0

【小学生向け】
上と同様に考えて、
Cのときは(1),(2)共に「C=2」となりますね。
∴A=0,B=0,C=2,D=0

“2019”問題(2019豊島岡女子)

2022年から高校募集を停止する豊島岡女子は、現中2生まで高校受験可能となります。

なお、今年の同校の入試問題は、全課程を履修後の「上位向けの模試」として適した内容となっています。

その中から、西暦年数問題をピックアップしました。


【問題】
√(2019+n)が自然数となるような最小の自然数nを求めよ。


【解答】
まずは、定石通りに、
√(2019+n)=m
とおきます(mは自然数)。

√をはずして、
2019+n=(mの2乗)

(44の2乗)<2019<(45の2乗)
より、
最小の自然数n=(45の2乗)-2019=6
と求まります。