数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

空間における“反射”問題(青山学院・改題)

入試を目前に控え、「平面における“反射”問題」の考え方は理解していることと思います。

では、「空間における“反射”問題」はどうなるか、再確認しておきましょう。


【問題】

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AB=6,AD=8である直方体ABCD-EFGHの、辺ABの中点をM、辺ADの中点をNとする。
4点M,N,F,Hを通る平面でこの直方体を切断すると、頂点Aを含む方の立体の体積は56である。
線分FHの中点をP、面AMFE上に点Qをとるとき、PQ+QNの最小値を求めよ。


(答え;√89)


【解説】

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まず、この直方体の高さ(h)を求めましょう。

相似な立体の体積比を用いて、
6×8×1/2×2h×1/3×(8-1)/8=56
よりh=4

“反射”問題での鉄則は、
「対称点をとる」
ことでしたね。

点Nの面AMFEに対する対称点Rをとると、
「PQ+QNの最小値=線分PRの長さ」
となりますね。
(※この理由を論理的に把握しておきましょう。)

後は、
「空間における線分の長さ」
を求めればいいので、
PR=√(3の2乗+4の2乗+8の2乗)

∴PQ+QNの最小値は√89

中学生も2020センター試験に挑戦!(確率編)

2020センター試験(数学Ⅰ・A)の確率の選択問題は、最後の設問以外は中学生でも解けると思います。

原題は誘導設問があるので、それに気付けばミスを防げるようになっています。
今回は誘導設問なしで、自らの注意力を確認してみましょう。


【問題】
1枚のコインを最大で5回投げるゲームを行う。
このゲームでは、1回投げるごとに表が出たら持ち点に2点を加え、裏が出たら持ち点に-1点を加える。
はじめの持ち点は0点とし、ゲーム終了のルールを次のように定める。
・持ち点が再び0点になった場合は、その時点で終了する。
・持ち点が再び0点にならない場合は、コインを5回投げ終わった時点で終了する。

このとき、ゲームが終了した時点で持ち点が4点である確率を求めよ。


【解説】
5回投げずに終わる場合もあるので、全ての場合が、
「同様に確からしい」
状況ではないことに注意しましょう。
よって、
「全部で何通りか」
をまず求める方法は不適切ですね。
(このあたりが、中学生にはまだ難しいかもしれません。)


このような問題の場合は、
「反復試行の確率」
の考え方でいきましょう。

まず、
「持ち点が4点」
ということは、
「表が3回、裏が2回の場合」
しかありませんね。

これは、
(5×4)/(2×1)=10通り
ありますね。

ここで気をつけなければいけないのが、
「最初の3回で表が1回だけ出る場合」
は、
「3回投げた時点で終了」
となることです。

よって、
「持ち点が4点」
となるのは、
上記の3通りを除外して、
「10-3=7通り」
となりますね。

∴(1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)×7=7/32

中学生も2020センター試験に挑戦!(比の移動編)

2020センター試験(数学Ⅰ・A)の平面幾何の選択問題も、そのまま高校入試用の「比の移動」問題になります。

「比の移動」については、以前にも扱いましたが、苦手とする生徒が多い分野です。
改めて、勉強の成果を確認しておきましょう。


なお、高校生は「メネラウス・チェバ」を用いて機械的に解いていくのですが、それらの定理を用いずに解くことの方が、中学生には大切です。
なぜなら、「定理の証明の原理」を理解することにつながってくるからです。

証明もしっかり理解できて、公式も正確に覚えているのであれば、中学生が「メネラウス・チェバ」を用いても全く構いません。


【問題】

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△ABCにおいて、
辺BCを7:1に内分する点をDとし、
辺ACを7:1に内分する点をEとする。
線分ADと線分BEの交点をFとし、
直線CFと辺ABの交点をGとする。

(1)AG:GBの比を求めよ。
(2)AF:FDの比を求めよ。
(3)GF:FCの比を求めよ。
(4)△BFG:△CDGの比を求めよ。
(5)4点B,D,F,Gが同一円周上にあり、かつFD=1のとき、ABの長さを求めよ。


(答え;センター試験の通り)


【解説】

「比の移動」には色々な方法があり、下記はその一例です。
自分にとって“最短の解法”を確認しておくといいでしょう。


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まず、DからBEに平行な補助線を引くと、
与条件より
AF:FD=8:1→(2)

次に、DからCGに平行な補助線を引くと、
AG:GB=1:1→(1)


ここからさらに補助線を引いていってもいいのですが、別の方法でいきましょう。

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△BDFの面積を7とすると、
△ABF=56,△CDF=1となるので、
△BFG=56/2=28となりますね。

これより、
GF:FC=△BFG:△BCF=7:2→(3)

また、
△CDG=△BCG×1/8=(28+7+1)/8=9/2
となるので、
∴△BFG:△CDG=56:9→(4)


さらに、(5)の与条件より、
「AF=8,△ABD∽△AFG」
となるので、
AB:8=9:AB/2より、
∴AB=12→(5)

中学生も2020センター試験に挑戦!(循環小数編)

2020センター試験(数学Ⅰ・A)では、「循環小数の分数化」が選択問題として出題されました。

「n進数の循環小数」にまで拡張させた、ちょっとオモシロイ問題でしたね。
中学生には、そこまでいくと背伸びしすぎとなるので、10進数にとどめておきましょう。

実際の問題の(1)では、
循環小数2.363636...の分数化」
をまず問うています。

その方法まで誘導しているので、中学生にもできるはずですね。

全く同じでは面白みに欠けるので、西暦年数を絡めてみましょう。


【問題】
「2.020の下2桁の2と0の上にドットをつけた循環小数」を分数で表せ。


【解説】
「2.02の下2桁の0と2の上にドットをつけた循環小数
だと原題と変わり映えしないのと、
西暦年数2020にこだわったために、
若干変な設問になっています。


x=2.0202020...
とおいて、
100x-x=200
より
∴x=200/99


なお、入試問題で扱われる可能性のある学校は限られますが、
有理数無理数の違い」
については再確認しておいた方がいいでしょう。

中学生もセンター試験に挑戦!(角の二等分線編)

2020センター試験(数学Ⅰ・A)の必答問題を、高校入試模擬問題にアレンジしてみました。

本来は、高校課程で習う“ある定理”を用いて解く定番問題なのですが、その定理を知らない中学生でも十分に解けるいい練習問題となるはずです。

若干時間がかかるかもしれませんが、今までの勉強の成果を確認してみましょう。

もっとも、中高一貫校在学の中3生ならば、「数学Ⅰ・A」は原題のまま高得点を狙えたはずですね。


【問題】

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△ABCにおいて、∠ACBの二等分線と辺ABとの交点をD、点Dから辺BCへおろした垂線の足をEとする。
BC=2√2,CD=√2,DE=√14/4のとき、次の問いに答えよ。
(1)BDの長さを求めよ。
(2)ADの長さを求めよ。
(3)△ABCの外接円の半径を求めよ。


高校受験をする中学生は、
「どのような流れで解いていくか」
が肝心です。

(1)は、必ずできなくてはいけません。
(2)は、このブログを読んでくれていた人ならば方策を思いつくはずです。
(3)は、中堅以上の学校では定番問題ですね。

(答え;センター試験の通り)


【解説】

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(1)
△CDEと△BDEで三平方より
∴BD=2


(2)
「角の二等分線の長さ」を求める公式を用いると楽なのですが、用いずに解いてみましょう。


まず、
Cから辺ABへおろした垂線の足をH
とします。

次に、△CBHと△CDHで三平方より方程式を立てて、
DH=1/2
これより
CH=√7/2

ここで、AD=xとすると、
CDが角の二等分線であることより、
AC=(√2)x

そして最後は、△CAHで三平方より、
(x-1/2)の2乗+√7/2の2乗=(√2)xの2乗
xの値は正なので、
∴x=1=AD


因みに、
「角の二等分線の長さ」を求める公式を使うと、
「2√2×(√2)x-2×1=(√2)の2乗」
より簡単にx=1と求まりますね。


(3)
「三角形の外接円の半径」
を求めるための流れを再確認しておきましょう。


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まず、
外接円の中心をO、
直線COと外接円との交点(C以外)をF
とします。

すると、
ACH∽△FCB
となることより、
外接円の直径FC=8√7/7
∴外接円の半径=4√7/7

面積比の再確認

各種平面図形の面積比に関する基本事項が押さえられていれば、何の問題もなく解けるでしょう。

時間がかかってしまったり、解けなかった場合は、早急に再確認が必要でしょう。


【問題】

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2つの線分AB,CDは点Oで交わっており、
AB=7,BC=8,OA=4,OC=2である。
4点P,Q,R,Sは、それぞれ線分AB,BC,CD,DAの中点である。
このとき、四角形PQRSの面積は△OADの面積の何倍か?

(答え;3/8倍)



【解説】
これは、「奈良県立入試(2014)」の改題です。

原題は、誘導設問の後にこの設問があるのですが、私立入試も考慮すれば、誘導なしで解けるようにしておくべきでしょう。

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まず、
「四角形PQRSは平行四辺形」
であることに気付けますね。

そして、この問題では、
「△OADと△PRSの面積比」
を考えればいいですね。

△PRS
=△OAD×(1-7/8×1/2-1/2×2/3-1/3×1/8)
=△OAD×3/16

∴四角形PQRS
=△PRS×2
=△OAD×3/8

ちょっとオモシロイ折り返し問題

条件設定がちょっとオモシロイと思います。
「平面図形を折り返したときの成立事項」をしっかり把握できていないと、解くのに時間がかかってしまうかもしれません。

今までの勉強の成果を確認してみましょう。


【問題】
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1辺の長さ3の正方形ABCDを、頂点Aが辺BC上にくるように折り返す。
頂点Aが移った点をP、折り目と辺AB,CDとの交点をQ,Rとする。
BP=DRとなるときのDRの長さを求めよ。

(※発展問題;「QRの長さも求めよ」)


【解説】
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まず、折り返したのですから、
「AP⊥QR
となりますね。

さらに、
「AP=QR
となることも把握できていますか?

Rから辺ABへおろした垂線の足をSとすると、
「△ABP≡△RSQ」
が成り立つことから導けるんでしたね。
(※初見の人は自分で証明しておきましょう。)

BP=DR=xとすると、
「AS=SQ=x」
となりますね。

すると、
「AQ=PQ=2x,BP=x」
となることから
「QB=(√3)x」
とわかりますね。

よって、AB=3なので、
「2x+(√3)x=3」
を解いて
∴x=DR=6-3√3

(2015東海)


【発展問題/解説】

QRを求めるには、
「二重根号の開き方」
もしくは、
「(15-75-90)三角形の3辺比」
を求められないと解けません。

前述の通り、
「AP=QR
となるのでAPの長さを求める方法を考えましょう。

△ABPで三平方より求めるには、
BP=6-3√3
となるので“二重根号”を開く必要があります。

それができないのであれば、
「△ABPが(15-75-90)の直角三角形」
となることから、
「△ABPの3辺比」
を求めることができるならば、APは求められます。

∴AP=QR=3√6-3√2


いずれも、上位向けの発展事項となりますので、詳細は省きます。

しかしながら、都立高校入試でも出題されています。
(参照→「2019 都立八王子東/数学 概観」)