数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

傾いた容器に入った水の容積

「特殊な立体の体積を求める力」をみるための定番問題で、現在の力を確認しておきましょう。

実際の高校入試で、ほぼ同内容で出題されたものですが、高学年の小学生ならば十分に解けるはずです。

但し、できるだけ手間をかけないで求める方法を探りましょう。


【問題】
AB=4,AD=3,AE=10の透明な直方体の容器がある。
この容器に水を入れ傾けたら、図のようになった。

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点P,Q,R,S,Tは、
それぞれ辺EF,BF,CG,DH,EH上の点で、
PF=3,QF=2,RG=4となった。
この水の容積を求めよ。
(※容器の厚さは考えないものとする。)


(答え;181/9)


【解説】
まず、“直方体の切断”の原理から、
「HS=4/3,HT=2」
と求まりますね。

そして正攻法だと、この“水”を次の3つの錐体に分割して考えるでしょう。

「四角錐P-FGRQ」
三角錐R-GTP
「四角錐T-GHSR」

どれも計算は楽なので、この方法でも構わないでしょう。


しかし、次のような考え方があることも知っておきましょう。

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3×4×4の直方体EFGH-IJRKから、余計な立体の体積(V)を取り除く方法です。

まず、
「直線QPと直線STの交点は直線AE上に存在」
しますね(点Uとします)。
EP=ET=1より、EU=2/3とわかります。

するとVは、
「3×4×(4+2/3)の直方体の半分」
から、
三角錐U-EPT」
を取り除けば求まりますね。

よって、
V=3×4×(4+2/3)×1/2-1×1×1/2×2/3×1/3=251/9
と求まるので、

∴3×4×4-251/9=181/9


以前、古典問題を用いて説明した内容を、応用した解法となります。