入試においては、「小問集合」を確実に得点につなげることが、合格のための第一歩であることは何度も伝えてきました。
しかし難関校では、そう簡単にはいかないことが多いでしょう。
「小問集合」をサッサと片付けて早く他の大問へと進みたい心理を弄ぶかのように、結構ヘヴィな問題が待ち構えているのです。
ここで思わぬ時間をとられてしまって、焦った心理のまま次の問題に取り組まねばならなくなることもよくあります。
とはいえ、現段階では恐れる必要はなく、
「どんな簡単な問題でも素早く正確に解く」
ことを日々心がけていれば、自然と力はついてきます。
大切なのは、それを
「常に念頭におき継続する」
ことです。
とりあえずはどんなものか、「百聞は一見に如かず」です。
現段階でも取り組める内容の“難関校のオードヴル(小問集合)”の中の1問をやってみましょう。
入試本番では、かけられる時間は5分以内でしょう。
【問題】
下図のように立方体の頂点に1が2つおかれている。
2,2,3,3,4,4の計6つの数字を他の6つの頂点に1つずつおく。
このとき、立方体の面の中で、4頂点に異なる4種類の数字がおかれている面が少なくとも1つある確率を求めよ。
ただし、どの数字のおき方も同様に確からしいとする。
(答え;13/15)
【解説】
問題文の表現から、まずは余事象で考えてみるべきでしょう。
つまり、
「どの面にも同じ数字がある場合」
を考えればいいですね。
(※「どの面も違う数字がある場合」と勘違いしないようにしましょう。)
すると、
「同じ“辺”上に同じ数字がある」
と
「2面に同じ数字がある場合」
となることがわかります。
つまり、3種類の数字があれば、余事象の条件を満たしますね。
(※「同じ“辺”上に同じ数字がない場合」は3種類あっても6面は不可能ですね。)
ここで6つの頂点にアルファベットを割り振ります。
1がある頂点は立方体の中で対称な位置にあるので、2次元の模式図で考えてみてもいいでしょう。
上記を満たす場合を大きく分類すると、
「A=B,C=D,E=Fの場合」、
「B=C,D=E,F=Aの場合」
の2パターンあることがわかります。
よって余事象は、
「3×2×1×2=12通り」
とわかります。
全部で、
「6!/(2!×2!×2!)=90通り」
あることから、求める確率は、
∴1-12/90=13/15
【参考】
6!=6×5×4×3×2×1(6の階乗)
→「異なる6個の順列」を求める計算式となります。
2!=2×1(2の階乗)
→「異なる2個の順列」を求める計算式となります。
6!を2!で3回割っているのは、同じ数字が2個ずつ3種類あるからです。
詳しくは、「同じものを含む順列」を調べてみましょう。
一般的には、中学生には発展内容となるので、現段階では「なるほどね」くらいで十分です。