数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

正三角形のみで構成された展開図

前回の「正三角形6個」の展開図は、頭の中で組み立てることも容易でした。
https://mcafejr.hatenablog.com/entry/2020/05/14/133933

今回は、実際の入試において出題された
「正三角形14個」
で構成された展開図です。
(※但し、“へこみのない”多面体の展開図とします。)

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小学生も、この展開図から
「どんな多面体が組み立てられるか」
は考えることができるはずです。

中3生は、現段階ではまだ無理ですが、秋頃には、
「この展開図を組み立てた多面体の体積」
や、
「投影図の外形の面積」
を求められるようにしておきましょう。


なお、実際の入試問題では、この多面体の構成についてのヒントが記述されていますが、今回はヒントなしで考えてみましょう。

“考え抜いた末に”どうしてもわからなければ、実際に展開図を作図して切り抜き、組み立ててみてもいいでしょう。

来たる入試に備えて、立体を把握する訓練になります。

小学生も大学入試問題に挑戦しよう!

大学入試問題であっても、小学生にも解けてしまうような場合があります。

しかも、小学生が解いても、高校生が解いても、かかる時間はほぼ変わらないのが今回の問題です。


念のため、言葉の説明だけしておきましょう。

自然数Aと自然数Bが“互いに素”」
とは、
自然数Aと自然数Bの“最大公約数が1”」
ということです。

自然数Aと自然数Bがどちらも素数
である場合はもちろんですが、例えば、
「8と9は互いに素」
となることに注意しなければなりません。


【問題】
2019以下の自然数について、次の値を求めよ。
(1)3の倍数の総和
(2)6の倍数の総和
(3)12と互いに素な数の総和


(答え;680403, 339696, 679393)


【解説】
「□の倍数の総和」
は、かつてのガウス少年のように、
「差が等しいいくつかの数(等差数列)の総和」
の求め方を用いればいいですね。


(1)
2019/3=673より、
題意を満たす3の倍数は3~2019の673個ありますね。
∴(3+2019)×673×1/2=680403


(2)
2019/6=336…3(※[2019/6]=336)より、
題意を満たす6の倍数は6~2016の336個ありますね。
∴(6+2016)×336×1/2=339696


(3)
12=2×2×3より、
「12と互いに素な数」
とは、
「2の倍数でも3の倍数でもない数」
ということがわかりますね。

まず、余事象である
「2の倍数または3の倍数となる数」
の総和は、
(2の倍数の総和)+(3の倍数の総和)-(6の倍数の総和)
で求まりますから、
(2+2018)×1009×1/2+680403-339696=1359797

∴(1+2019)×2019×1/2-1359797=679393

「平方根」関連の頻出問題

「根号を含む数の四則演算」ができるようになったら、次のステップとして、「平方根の原理」に基づく応用問題に取り組んでみましょう。

入試においてよく出題される代表的な問題を、過去問からいくつか集めました。


【問題】
√(2019+n)が自然数となるような最小の自然数nを求めよ。

【解説】
https://mcafejr.hatenablog.com/entry/2019/07/28/%E2%80%9C2019%E2%80%9D%E5%95%8F%E9%A1%8C%282019%E8%B1%8A%E5%B3%B6%E5%B2%A1%E5%A5%B3%E5%AD%90%29


【問題】
√(2018-2n)が整数となる自然数nの個数は?

【解説】
https://mcafejr.hatenablog.com/entry/2019/07/16/%E3%80%8C%E2%88%9A%E2%96%A1%E3%81%8C%E2%80%9C%E6%95%B4%E6%95%B0%E2%80%9D%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%80%8D


【問題】
√(582-6n)が自然数となるような素数nの値を全て求めよ。

【解説】
https://mcafejr.hatenablog.com/entry/2019/07/18/%E3%80%8C%E2%88%9A%E2%96%A1%E3%81%8C%E2%80%9C%E8%87%AA%E7%84%B6%E6%95%B0%E2%80%9D%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%80%8D


【問題】
1~8の整数が1つずつ書かれた8枚のカードが入っている袋がある。
この袋から1枚のカードを取り出して戻す作業を2回繰り返す。
1回目、2回目に取り出したカードに書かれた整数を順にm,nとするとき、
900/√(mn)が整数となる確率は?

【解説】
https://mcafejr.hatenablog.com/entry/2019/08/08/%E5%B9%B3%E6%96%B9%E6%A0%B9%E3%81%A8%E7%A2%BA%E7%8E%87%EF%BC%882018%E9%83%BD%E7%AB%8B%E5%9B%BD%E7%AB%8B%EF%BC%89

2元2次の不定方程式(中級編)

中3生の皆さんは、標準的な「因数分解」ならば、できるようになっているはずですね。
とすれば、次のステップの「整数問題」に進めることを体感してもらいましょう。

「1次の不定方程式」
ならば、力業で押し切ってしまっても、まぁ“可”でした。

しかし、
「2次の不定方程式」
では、因数分解を用いると楽に取り組めるようになります。

「方程式で因数分解?」
という疑問も現段階ではもっともですが、まずは自分なりに試行錯誤して工夫してみましょう。

その“試行錯誤”があなたを成長させます。


【問題】
「a×a+a-2-b×b-b+6=14」
を満たす整数(a,b)を全て求めよ。
但し、
「a+b>0,a-b>0」
とする。


【解説】
部分的に、
「a×a+a-2」

「-b×b-b+6」
ならば、別々に因数分解できるけれど、これではあまり楽にはならないなぁ…

と判断したら、他の組み合わせも考えてみましょう。
(※「因数分解せよ」という問題であったならば、必ず因数分解できるように作られているので、万能的に対処できる方法もあります。しかし、“応用編の因数分解”を一通り学んでから理解すべきなので、今回は扱いません。)


まずは、
「文字の項を左辺、定数項を右辺」
に分けてから、
「左辺を因数分解
することを考えましょう。

a×a+a-b×b-b=14+2-6
a×a-b×b+a-b=10
(a+b)(a-b)+(a-b)=10
(a-b)(a+b+1)=10

これで、この不定方程式に取り組む準備が完了しました。
(※“左辺が因数分解できない場合”が次のステップの問題となります。)


そして、
「a+b>0,a-b>0」
という条件を正しく捉えなければいけません。

「a>b>0」
と捉えてしまうミスが多いので注意しましょう。
「b<0」
でも条件を満たす場合がありますね。

以上に注意しながら検討すると、
「a-b=1,a+b+1=10」
「a-b=2,a+b+1=5」
「a-b=5,a+b+1=2」
の場合が条件を満たすことがわかります。

∴(a,b)=(5,4),(3,1),(3,-2)



このように、
「2次の不定方程式」
は、
因数分解した式=整数」
の形に変形することで取り組みやすくなります。
(※最難関レベル以外はこのタイプでしょう。)

立方体の辺上の4動点

「空間における3点」であれば、その全てを通る平面は必ず存在しますね。
しかし、「4点」となると簡単にはいきません。

入試において、
「空間における4動点が同一平面上」
にある場合を考えるには、“時間との闘い”に伴う焦りもあり、厳しいものがあるでしょう。

それに備えるためにも、一度じっくり取り組んでおきましょう。
(“立方体の切断”ができる小学生ならば、十分に挑める問題です。)


【問題】

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1辺12の立方体ABCD-EFGHがある。
4点P,Q,R,Sは、それぞれ辺AE,EF,BC,CD上の動点で、下記のように動く。
P; 毎秒4でE→A→E→A→…
Q; 毎秒2でE→F→E→F→…
R; 毎秒2でB→C→B→C→…
S; 毎秒3でD→C→D→C→…
4動点は同時に動き始め、かかった時間をx秒とする。
0<x≦24とするとき、4動点が同一平面上にある場合のxの値を全て求めよ。


【解説】
まず、
「辺AE,EF,BC,CDの各辺上の4点(頂点を除く)」
が、
「同一平面上には存在し得ない」
ことを把握しましょう。

“立方体の切断”の原理を理解できていれば、時間は若干かかるかもしれませんが、たどり着けるはずです。

そこまでたどり着ければ、
「動点が頂点上にある場合」
を考えていけばいいですね。

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∴x=6,12,18,24

因みに、4点は、
x=6,18のとき「台形」を形成
x=12のとき2点が一致し「直角三角形」を形成
x=24のとき2点が一致し「正三角形」を形成



なお、上記問題は
「今年の都立戸山の入試問題」
のアレンジです。

入試では、
「各点が一致しない場合」
に関して出題されました。

時間が制約されている状況では、一番最後にまわして取り組むべき問題だったでしょう。


※「x=4のときの4動点を結んでできる四面体」の体積を求める問題が、
「多面体の体積の考え方」
https://mcafejr.hatenablog.com/entry/2020/05/16/102021
の(1)の問題で、同じく都立戸山入試(2020)にて出題されました。

多面体の体積の考え方

「柱体・錐体である多面体」
の体積ならば、簡単に求められる場合もありますね。

しかし入試問題では、柱体・錐体であっても、
「底面に対する高さ」
が求めにくい場合が多くなります。

ましてや、
「柱体・錐体ではない多面体」
であるならば、その体積を求めるには、何らかの工夫が必要になってきます。

そのための練習をしておきましょう。
(※高学年の小学生ならば解けるレベルにしてあります。)


【問題】
1辺12の立方体ABCD-EFGHがある。
辺AE,EF,BC上の点をそれぞれI,J,Kとする。
AI=FJ=CK=4とするとき、次の問いに答えよ。

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(1)四面体CIJKの体積を求めよ。

(2)3点I,J,Kを通る平面で立方体を切断し、点Bを含む立体を取り除く。
残った立体をさらに3点I,J,Cを通る平面で切断し、点Hを含む立体を取り除く。
最後に残った立体の体積を求めよ。


(答え: 256/3, 496/3)


【解説】
(1)
この四面体は、どの面を底面と考えても、体積を求めにくいですね。

こういう場合は、簡単な立体との
「体積比」
を利用する手法を忘れないようにしましょう。

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(I-CJK):(I-CJB)
=△CJK:△CJB
=CK:CB
=1:3

∴(I-CJK)=(I-CJB)×1/3=256/3

(I-CJB)ならば、
「底面が△BIJで高さがBCの三角錐
ですから簡単に体積を求められますね。


(2)
この問題は、「立方体の切断」ができるようになってから臨みましょう。

その上で、(1)を利用すれば簡単に体積を求められることに気づけるようにしましょう。

最後に残った立体は、一発で求めることもできますが、(1)を利用した方が楽ですね。
ですから、まずはこの立体を分割して考えましょう。

すると、
「(1)で求めた四面体」
と、
「四角錐I-CNLK」

「四角錐J-COMK」
に分割できますね。

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この2つの四角錐の体積は等しく、
(4+1)×12×1/2×4×1/3=40
と簡単に求まりますから、

∴256/3+40×2=496/3


簡単に体積を求められない多面体の場合は、
「体積比の利用」
や、
「分割・除外」
の手法を使えるようにしておきましょう。

正三角形のみで構成された多面体

今回は、
「正四・正八・正二十面体」
の話ではありません。

前回の、
「正三角形6個のみで構成された平行四辺形BCIR」
という展開図を組み立てた立体についての補足です。

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展開図からも明らかなように、
「合同な正多角形のみで構成された多面体」
ですが、“正多面体”ではありません。

なぜなら、
「各頂点に集まる面の数が同じではない」
からですね。
(※同様の多面体は他にもあります。)


この立体には、
“外接球(全ての頂点を通る)”
や、
“平行な面”
は存在しませんが、
“内接球(全ての面に接する)”
は存在しますね。

この立体が、
「2つの正四面体が合体した立体」
であることから上記をイメージできればOKです。
(“内接球の中心”もイメージできるようにしましょう。)

中3生ならば秋頃には、この“内接球の半径”も求められるようになっているはずです。


※なお、この立体の見取り図を次のように描かれることで、混乱してしまうことのないようにしましょう。

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