数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

誘導設問なしで解ききれるか(2023都立日比谷・改題)

前回記した通り、今年の都立日比谷においては難問レベルの出題はありませんでした。
 
但し、誘導設問さえなければ、
「どれだけ短時間で気づけたか」
を評価できる内容になっていたであろう出題はありました。
 
難問というほどではないものの、
「制限時間内に解ききらなければ…」
と焦っている精神状態であれば、気づけた人はある程度絞られてきたとは思います。
 
まだ問題を見ていないのであれば、短時間に気づけるか試してみましょう。
 
 
【問題】
線分ABを直径、中心をOとする円がある。
その円周上に3点C,D,Eがあり、
「点Aから反時計回りにA,D,E,B,C」
と異なる5点が並んでいる。
2∠BAC=∠BADで、直線AEは∠BADの二等分線となっている。
また、線分CDと線分AB,AEとの交点をそれぞれF,Gとする。
AO=5,AD=8のとき、AG:GE=?
 
(※原題とは条件文、点名が異なります。)
 
 
【解説】
原題では、前設問で
「△ADG≡△AFG」
を証明させているので、これを用いれば簡単に解けるようになっていました。
 
つまり、
「∠AGF=90゜=∠AEB」
より、
∴AG:GE=AF:FB=8:(10-8)=4:1
 
 
このように、誘導設問さえなくせば、
「気づけた人と気づけなかった人」
の選別ができて、
「平面幾何問題における情報処理・展開力」
をみることができたはずでした。
 
しかし、原題における出題方針は、
「解ききれるのは合格のための最低基準」
となるような設問レベルにしておいて、
「もし解ききれないならば合格基準に達していない」
という捉え方をしたかったようです。
 
つまり、
「“加点主義”ではなく“減点主義”」
ということですね。