昨年あたりから従来レベルの内容に戻りつつあった都立日比谷の数学入試問題。
今年の内容は、新型コロナ以前の従来レベルに比して違和感を感じないものでした(1問は難問があってもいいとは思いますが…)。
コロナ禍から続いた“易化傾向”からの脱却は明確となり、制限時間との闘いの中で何とか解ききれるであろう設問を揃えながら、難しすぎる設問は避けた内容だったと思います。
例えば、「[3]の最後の設問」。
慣れていないと時間がかかってしまう可能性はあるものの、この学校の受験生であれば、このような条件設定の問題は何度も練習してきたはずですね。
「相似」だけで押し切れないならば「三平方」へ持っていくのは定石ですし、ましてや特別角が出てきているので大方の受験生は対応できたはずです。
そして最後の大問[4]。
条件設定に「回転」を含めることが、どうやら定着してきたようですね。
設定によってはかなり複雑にもなり得る“三次元の回転”ですが、今回の内容も平易なものにとどめていました。
但し、問題文をサラッと読んだだけで臨んでしまうと、
「問題文がおかしいんじゃないの?」
と感じてしまった受験生もいたかもしれませんが、そのままでも1問を除いては解ききれてしまったことでしょう。
つまり、
「正方形を一回転させる」
と早とちりしてしまうと、
「最終的な影の形の設問には正しく答えられない」
ものの、問題文の内容に釈然としないまま他の設問には正しく答えられたことでしょう。
問題作成サイドもその辺を危惧したのか、(優しいことに)助け船を出すような設問もわざわざ設けている訳で、その段階で修正できなかった受験生の方に非があると言わざるを得ませんね。