先日実施された「大学入試共通テスト/数学Ⅰ・A」について、概観を記しておきます。
全体的な難易度については、よく考えられた適正なレベルだったと思います。
但し、一昨年ほどではありませんが、昨年よりはやや取り組みにくくなっている印象です(内容的な難易度云々ではなく、とにかく時間が足りなくて苦労したのではないかと…)。
センター試験のときは、中学生にも十分に解ききれるようなレベルの問題も多かったのですが、共通テストになってからは「受験生により深い思考をさせるような内容」になったこともあり、高校受験をする中学生がトライするのであれば、難関校をめざす勉強をしてきた受験生に限られるでしょう(中高一貫校であれば解けて当然ですね)。
選択問題は「3問の中から2問を選択」となっていますが、最初の【確率問題】は、いかんせん問題文が長いので、どうしても避けたくなったと思います。
問題文が長い場合、通常であれば「誘導してくれている部分が多い」ことに起因していることが多く、内容的には平易な可能性が高いのですが、これだけ長いと落ち着いて取り組むのは難しくなってくるため、選択するのを躊躇するのもよくわかります。
今回も内容的にはそれほど難しいものではないのですが、時間との闘いの中で、どこかでちょっと躓くと「その後は全滅…」なんてこともあり得たでしょう。
よって、後半2問を選択する受験生が多かったのではないかと思います。
【n進数問題】は、(3)の設問文でやや混乱させられた受験生も多かったと思います。
その原因は、「0以上の整数l」に関する記述の仕方が、「全く別の事柄が同値である」という理解へとつながりにくくなってしまっていることです。
「タイマー」という装置を登場させたことで、時間との闘いの中で「lをタイマーに入力するのか?」と変な方向へ思考を展開させてしまい、解ききれなかった受験生もいたことでしょう。
また、最後の設問のところで「不定方程式が立てられない…」との焦りから、整数問題が得意な受験生ほど、時間をかなり消費してしまったかもしれませんね。
【平面幾何問題】は、(2)を解いていく際に意外と時間を取られてしまった可能性もあるでしょう。
こういう問題は、このブログで繰り返し伝えてきたように、とにかく
「まず大きく図を描く!」
ことが肝心です。
「小さな図にゴチャゴチャ条件を書き込んでいる」
ようでは、行き詰まることが目に見えています。
結果的に考えたとしても、「どの2問を選択すべきだったか」は、「人による」としか言えないような絶妙な設定だったと思います。
確率問題に自信がある場合ならば、【3】を選択して正解だったと思いますが、ついついミスを犯してしまいがちなのが確率問題でもありますね。
ただ、全体的に、「ここまで“時間”と格闘しなければならない内容にすべきか」は、今後の検討課題だと思います。
そもそも入試というものは、“ふるい分ける”ことが目的ではあるので、現状の方向性でも構わないのかもしれませんが、「共通テストであるのならば、受験生をもう少し楽にさせてあげてもいいのでは…」と感じる今日この頃です。