数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

今の時期だからこそ素直に解ける「四面体問題」(2023都立隅田川・改題)

多面体の中で最も面の数が少ない“四面体”。
 
つまり“三角錐”なので、その体積を求めることは難しいことではありませんね。
 
基本情報である
「底面積とそれに対する高さ」
さえわかれば求められるものの、条件によっては「無理数」や「三平方の定理」などを知らないと、その基本情報さえ求められない場合も出てきます。
 
さらに、入試問題として頻出しているのは、上記を習った後でも、そもそもその基本情報自体が求めにくい設定になっているタイプです。
(※当ブログでもいくつも扱ってきましたね。)
 
入試対策を積み重ね、入試前2~3ヶ月前あたりには「四面体求積問題」への様々な対処法を手にしているはずですが、中3生でも未習事項が多いこの時期においては、簡単な四面体問題しか手を出せないのも当然です。
 
しかし、
「手の内が限られているからこそ対処しやすい
という例は結構あります。
 
“下手に”発展解法をあれこれ習っていると、それに固執してしまって逆に解けなくなってしまう生徒も少なくないのです。
 
 
例えば、
「AB=4,BC=5,AE=3の直方体ABCD-EFGH」
があったとしましょう。
 
ここで、
「辺FG上の点をP」
とし、
「四面体H-ACP=15」
となるときの
「線分FPの長さ」
を求めてみましょう。
 
入試で頻出しているのは、
「底面積とそれに対する高さ」
が求めにくいような位置に点Pを定めた上で、
「四面体H-ACPの体積を求めさせる」
ような設問です。
 
一方今回の場合は、
「四面体の体積が定められた上で点Pの位置を求めさせる」
設問となっているので、まず
「方程式を立てる」
ことを考えるのが筋ですね。
 
素直に、
「求めるべき線分FPの長さをx」
として、現在の知識のみで立てられる方程式を考えてみましょう。
 
 
これは実際の高校入試問題なのですが、入試直前の受験生の方が手こずってしまいがちです(三平方、相似を駆使したあげく…)。
 
1次方程式の解き方さえ習っているならば、誰でも解けてしまうことを確認しておきましょう。
 
 
【解説】
直方体を
「錐体に分割して考える」
だけですね。
 
すると、
「4×5×1/2×3×1/3×3+15+
12x/3+4(5-x)×1/2×3×1/3=3×4×5」
という1次方程式が立てられますね。
 
∴x=FP=5/2
 
 
入試直前の受験生は、例えば“切断法”だと
「平面ACGEで切断」
するのが得策ではあるものの、相似を用いて高さを求めたりと、方程式を立てるのがやや面倒になってしまいます。
 
上記のように、基本に立ち返って解いた方がかなり楽ですね。