数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

勝ちやすくするための選択とは?

「必勝法があるゲーム」
は、やること自体は前フリでしかなく、
“必勝の原理を学ぶ”
ことに意義があります。

つまり、必勝法はないものの、
「こうすれば勝ちやすくなるのではないか…」
と考えさせるような“余地”があってこそ、楽しめるゲームと言えるでしょう。

そこで、「確率」を指標として戦術を判断するのは、一つの賢明な試みです。
但し、確率というものは理論値に過ぎなく、試行頻度が多くないとその理論値には近づかない(「大数の法則」)ことを、念頭においておく必要がありますね。


では、次のようなゲーム(勝負)を挑まれたら、どうしますか?


【ゲーム】
「ハートのA」と「ジョーカー(2枚)」
の計3枚のトランプカードが伏せてあります。
ここから1枚を選んで、それが「ハートのA」であればあなたの勝ちです。


当然ながら、
「勝つ確率は1/3」
とあなたに不利な勝負で、これを“勝ちやすくする術”はありませんね。

しかし、このゲームには続きがあります。


【ゲーム(続き)】
ゲームの親元が、あなたの選んだカード以外の1枚を開けて「ジョーカー」であることを示します。
そして、
「選んだカードを替えませんか」
と勧めてきます。
替えるか否かはあなたの自由です。


さぁ、あなたならどうしますか?

勝負事なので、当然勝ちやすくするための選択をすべきですね。
その選択の理由を論理的に説明できればOKです。

有名な問題なのでご存知の方も多いと思いますが、これも“お子さん向けのレクリエーション”になれば、と。


あなたが最初に選んだカードは3パターン考えられるので、各々についてみていきましょう。
(※ジョーカーは「ジョーカー1」と「ジョーカー2」とします。)


(1)「ハートのA」だった場合
カードを替えると必ず「ジョーカー」となり、あなたの負けとなります。

(2)「ジョーカー1」だった場合
カードを替えると必ず「ハートのA」となり、あなたの勝ちとなります。

(3)「ジョーカー2」だった場合
カードを替えると必ず「ハートのA」となり、あなたの勝ちとなります。


つまり、あなたが
「カードを替える」
という選択をすれば、
「勝つ確率は2/3」
と倍増する訳です。

(1)の場合は悔しいでしょうが、戦術的には「カードを替える」選択をすべきでしょう。

ゲームの親元が「カードを替えませんか」と言ってきたら、邪推したくなるのが人間心理ですね。
その心理を利用して親元が有利になるようにもっていく、というゲームだった訳です。


このような“からくり”は、詐欺などに悪用することもできてしまいます。
「冷静な論理的判断」は、日常不可欠ですね。