数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

“スポーツクライミング複合”を題材とした入試問題(2022兵庫県立・改題)

東京五輪2020において初めて採用された種目である“スポーツクライミング複合”。
 
その順位の決め方が、ちょっとオモシロイ数学の問題の題材になりそうだったので、昨年投稿しました。
 
 
「順位の決め方」がちょっとオモシロイ“スポーツクライミング複合”
 
 
その期待(?)に応えてくれた入試問題がありましたので紹介します。
 
「順位の決め方」についての説明がやや長くなってしまわざるを得ない題材なので、問題作成者サイドとしては採用するのを避けたくなる側面があるにもかかわらず、入試問題の題材として採用しオモシロイ問題に仕上げた問題作成者に賛辞を送りたいと思います。
 
なお、順位の決め方についての詳細は割愛しますので、昨年の投稿を参照ください。
 
 
【問題】
あるスポーツクライミング複合(3種目)の大会に、A選手、B選手を含む20人の選手が出場した。
その総合順位は、3種目の順位をかけ算して算出したポイントを用いて決定した。
その結果について、次のことがわかっている。
 
A選手は4位となった種目が1種目ある。
B選手は15位となった種目が1種目ある。
A選手、B選手どちらの選手もポイントは、401ポイント以上410ポイント以下である。
 
このとき、総合順位はA選手、B選手どちらの選手が下位であったか?
また、各選手の残りの2種目の順位を求めよ。
但し、各種目について同じ順位の選手はいないものとする。
 
 
なお、次回のパリ五輪では、
「“スポーツクライミング複合”はボルダリング、リードの2種目」
となり、
「スピードは単独競技」
となるようです。
 
“複合競技”というものは、本来、全く異なる能力を用いる競技を複合して競うものなので、例えばジャンプとクロスカントリーで競う「スキー/ノルディック複合」の優勝者は“キング・オブ・スキー”と称賛される訳です。
 
スポーツクライミングの場合はまだ競技人口としての裾野が狭いからか、選手側の声が反映されたのかもしれませんね(陸上で言えば“短距離走”と“長距離走”のような競技をセットにした種目だけにしないでくれ…と)。
 
体力的には外国選手に劣ってしまうことが多い日本の選手の場合、普段の競技ではスピード(“短距離走”的な競技)を行っていないことが多かったのですが、東京五輪で初採用となることになり五輪対策として練習を追加したようです。
 
 
【解説】
まず、総ポイント数から次のことがわかりますね。
 
401/4以上410/4以下より、
「A選手の残り2種目をかけたポイントは101or102」
 
401/15以上410/15以下より、
「B選手の残り2種目をかけたポイントは27」
 
そこで、
「各種目の順位は20位まで」
を考慮すれば、
「A選手の残り2種目をかけたポイントは102」
と限定されるので、
A選手の残り2種目は6位と17位で408ポイント」
 
また、
「B選手の残り2種目は3位と9位で405ポイント」
となることから、
A選手の方が下位