数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

“2020”問題(西暦年数問題)/続編

年頭ですので“西暦年数問題”からいきましょう。
前回の問題は少しイレギュラーな出題パターンでしたが、今回は“ド定番”パターンです。

まずは、西暦年数の「2020」と令和2年の元号年数「2」を用いた問題です。


【問題-1】
√(2020+2m)が整数となるような最小の自然数mを求めよ。


【解説-1】
まず、
(44の2乗)<2020<(45の2乗) (*1)
を把握した上で、
「√の中が(45の2乗)=2025」
では題意を満たすmは存在しないことがわかります。

そこで、“四角数の性質”を用いて、
「√の中が(46の2乗)=2116」
のとき題意を満たすとわかるので
∴最小の自然数m=48



では、次の問題を解く過程で、「“2020”問題」への基本対策を確認しておきましょう。


【問題-2】
「2020+(aの2乗)=4×(bの2乗)」
を満たす自然数(a,b)の組を全て求めよ。


簡単だと思いますので、サクッと解いてみましょう(解答は次回)。


(2020/1/4更新)

【解説-2】
まずは、
2020=2×2×5×101 (*2)
素因数分解します。

また、不定方程式(2次)を
(2b-a)(2b+a)=2020
と定石通りに式変形します。

次に、題意より、
0<2b-a<2b+a
であることに留意すると、
「2b-a=2,2b+a=1010」
「2b-a=10,2b+a=202」
の場合のみ題意を満たしますね。

∴(a,b)=(504,253),(96,53)


(*1),(*2)を把握しておくと、入試の際の時間節約に役立つでしょう。

また、(*2)から、
“2020”の
「約数は3×2×2=12個」
「約数の和は
(1+2+4)(1+5)(1+101)=4284」
とわかることも確認しておきましょう。

なお、参考までに、
「近傍の素数は2017と2027」
で、
「2027と2029は双子素数
となります。

受験生の質問を受け付けます

当ブログでは、2018~19年の「高校入試問題」を中心に、100問以上の解説を行ってきました。
その理由は、小学生から大人まで、幅広い層の人たちが取り組みやすいからです。


小学生にとっては難しいものも多かったでしょうが、チョッと背伸びをすれば理解できるはずです。

中学生、特に中3生にとっては、ドンピシャの内容だったはずです。

高校生(特に理系)にとっては簡単すぎたでしょうが、数学が苦手な高1生の復習にはなったのではないでしょうか。

大人の方には、高校入試問題くらいが、ちょうど気持ちよく“解く快感”を味わえるのではないかと思います。
三角関数やベクトルともなると、公式等を復習し直さないことには敷居が高いのではないでしょうか。


そして、中3生(小6生も)は受験を目前に控えていますね。
数学に関しては、重要ポイントについて一通り解説してきたと思います。
しかし、標準レベル以上の問題を中心に扱ってきましたので、わからない内容についての説明が足りていないかもしれません。

そこで、受験を目前にして困っている人がいるならば、質問を受け付けます。
具体的に内容・問題等を伝えてもらえれば、当ブログ上で解説します。
(※質問が多数になった場合は、対応できないこともあり得ますので了承ください。)

では、受験生の健闘を祈ります!

立体に内接する最大の球

「内接球」と聞くと後込みする人もいるかもしれませんが、順を追って考えていけば決して難しくありません。


【問題】

全く同じ底面を持つ円錐VとWが、底面どうしがピッタリ重なり合ってできた立体を考える。
上側の円錐Vの側面の展開図は
「半径20中心角216°の扇形」、
下側の円錐Wの側面の展開図は
「半径15の扇形」
である。
この立体に内接する最大の球の半径を求めよ。



【解説】
まず、この立体は、
「回転体」
ですから、
「回転軸を含む平面(断面)」
で考えればいいですね。

つまり、
「内接球の中心を通る断面」
も、上記の断面に現れます。

となると、
「この断面図形の“内接円”の半径」
を求めればいいですね。


円錐底面の半径をrとすると、
r/20=216/360より、
r=12

内接円の半径をRとして、
断面図形の面積に着目すると、
24×25×1/2=(20×2+15×2)×R×1/2
∴R=60/7=内接球の半径


(2019江戸川学園取手

折り返し問題-4

この定番問題も、意外と苦戦するかもしれません。
時間がかかってしまった場合は、入試本番に向けて、取り組み方をしっかり確認しておきましょう。


【問題】
AB=1,BC=3の長方形ABCDを、AとCが重なるように折ったときの折り目をEFとする。
BEとAFの交点をHとするとき、△AGEは△AHEの何倍か?

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(答え;36/25倍)


(2019/12/31更新)
【解説】
相似ではない図形の面積比は、ある基準図形を元に考えるのが基本でしたね。
しかし今回の場合は、もう少し簡単に考えられることに気付けるようにしましょう。


f:id:booterpig:20191231120558j:plain

まず、△ABFで三平方より、
AF=CF=5/3, BF=4/3

次に、△ABF≡△AGEより、
AE=5/3

よって、△AEH∽△FBHより、
AE:FB=5:4=AH:FH (1)

また、
GE:AF=4/3:5/3=4:5 (2)

∴(1),(2)より、
△AGE/△AHE
=GE/AH
=4/(5×5/9)
=36/25


今回の第一のポイントは、
「△ABF≡△AGE」
です。

これに気付けないと、時間がかかったことでしょう。

第二のポイントは、
「台形の対角線分割」
です。

四角形AHEGは台形ですから、
「△AGE/△AHE=GE/AH」
と簡単化できますね。


(2019中央大学杉並)

角の二等分線(中級編)

解き慣れていないと、意外と時間がかかったり、解けなかったりするかもしれません。

また、入試問題では、与条件の説明に“一癖”あることも多いので注意しましょう。


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【問題】
AC=5である△ABCがある。
辺BCのC側に延長した直線上に「∠CAD=∠ABC」となる点Dをとる。
∠ADBの二等分線と辺AB,ACとの交点をE,Fとする。
AF=3のとき、
(1)AB=?
(2)EB=?
(3)△AFD:四角形EBCF=?


(答え; 15/2,9/2,12:19)


(2019/12/30更新)
【解説】
ポイントは、
「相似な図形」と「二等辺三角形
でしたね。

入試本番では、
「AC=5」あるいは「AF=3」
を焦って見落としたまま、
「解けない…」
と捨ててしまうこともあり得るので十分に注意しましょう。

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(1)
解き慣れていないと、いきなり(1)から解けない可能性もあります。

まずは、
「AF=3,FC=2」
また、
「DFは角の二等分線」
より、
「AD:CD=3:2」

次に、題意より、
「△ABD∽△CAD」
また、上記より、
「AB:CA=3:2」
∴AB=5×3/2=15/2

(2)
題意より、
「△AEFは二等辺三角形
よって、
「AE=AF=3」
∴EB=AB-AE=9/2

(3)
(1)より、
「AD:BD=2:3」
また、
「△AFD∽△BED」
となるので、
「△AFD:△BED=4:9」

また、
AF:FC=3:2より
「△AFD:△CFD=3:2」

∴△AFD:四角形EBCF
=△AFD:(△BED-△CFD)
=4:(9-4×2/3)
=12:19

(2019青雲)

円弧をアウトラインに含む図形(2019巣鴨)

「平面図形のアウトラインに円弧が含まれる」
ならば、その面積を求めるには円周率(π)が基本的には必要ですね(あの有名な図形を除いて)。
そこに着目して考えていけば、解法は見えてくるはずです。


【問題】
辺BCを直径とする円と辺AB,ACとの交点をD,Eとし、BEとCDとの交点をFとする。
AB=6,AC=4,∠BAC=60゜のとき、
(1)AD=?,BC=?
(2)DE=?
(3)斜線部の面積は?



【解説】
「円弧の中心角」に着目するのがポイントですね。

入試に向けては、「できるだけ効率的に解く」訓練も重要になってきます。


(1)
直角三角形の3辺比より、
AD=2,BC=2√7

(2)
∠DCE=∠DBE=30°なので、
円の中心をOとすると、
∠DOE=60°
よって△ODEは正三角形となるので
∴DE=√7

(3)
まず、
DF=4√3/3,FC=2√3/3
となるので、
DF:FC=2:1

また、
Dから線分AEへ下ろした垂線の足をHとすると、
DH=√3

よって、
△DEF=△CDE×2/3=√3/3

線分DE上側の斜線部分の面積は、
(60°扇形)-(正三角形)
=7π/6-7√3/4

∴斜線部の面積
=√3/3+7π/6-7√3/4
=7π/6-17√3/12

角の二等分線と円

定番の組み合わせだからこそ、しっかりと解ききれるようにしておきましょう。


【問題】

△ABCはABを直径とする円Oに内接している。
∠BACの二等分線と円Oとの交点をD、線分BCとの交点をEとする。
AB=8,AC=6のとき、
(1)BE=?
(2)AE/CE=?
(3)△ADC=?



【解説】
(1),(2)ができるのは基本として、(3)をできるだけ短時間に解ききれるようにしましょう。


(1)
AB:AC=4:3=BE:CEより
BE=BC×4/7=8√7/7

(2)
さらに上記より、
CE=BC×3/7=6√7/7
よって、
AC:CE:EA=√7:1:2√2
∴AE/CE=2√2

(3)
色々な方法がありますが、下記が一番短時間だと思います。

△ACE∽△ADBより
AD=2√14,DB=2√2となるので
△ADB=4√7
△ADB:△ADC=4:3より
∴△ADC=3√7


(2019日本大学習志野