数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

都立・神奈川県立入試/数学(2024)を概観して

コロナ禍など気にすることもなく、この2年間なぜか“上振れ”した内容で実施されてきた神奈川県立入試/数学でしたが、先日実施された今年の入試問題は「ほぼ従来通りのレベル」に戻ってきた感があります。
 
依然として「しっかり考えさせる内容」ではあるものの、幅広い受験生達が立ち向かえるレベルであったと思います。
 
今年の受験生は、ほぼ通常通りの状況で中3課程を学んできたこともあり、平均点も60点くらいまでアップするのではないでしょうか。
 
 
一方【(一般)都立入試/数学では、ずっと易化が続いており、神奈川県立との内容的なレベル差がかなり目立っていました。
 
「なぜだろう…?」と、このところの一般都立入試の平均点を調べてみると、「あのレベルの問題でこの点数?」という状況が続いており、問題作成サイドとしても「易化を続けるしかない…」という状況だったと想像されます。
 
「コロナ禍での難化傾向の入試問題」を乗り切ってきた神奈川県の受験生に比して、「易化を続けた入試問題」に対しても結果を残すことができなかった都内の受験生は、
“コロナ禍の影響をかなり受けている可能性が高い”
と判断されます。
 
おそらく、塾や家庭教師などから指導を受けてきた場合は何とかリカバーできたとしても、ずっと家庭で独自勉強をせざるを得なかった生徒たちの学力低下が、思いのほか激しかったのではないでしょうか。
 
進学指導重点校などを受験する“いわゆる成績上位グループ”の生徒たちは、各校が作成した独自問題で受験することになるので、幅広い都内の受験生が対峙する【(一般)都立入試/数学】では「内容的には易化しているのに平均点が低い…」状況が続いていたのだと想像します。
 
逆に言えば、「駒場・小山台・町田など」の一般問題で受験する学校の場合は、「数学では(皆高得点で)差がつかない」状況が続いていたのではないでしょうか。
 
神奈川県立の一週間後に実施された今年の都立入試のレベルも、案の定「さらに易化」したものとなっていました。
 
「このレベルで本当に大丈夫なの…?」と心配してしまうくらいですが、前年までの結果を踏まえれば、問題作成サイドとしてはやむを得ない状況だったのでしょう。
 
しかし都内の受験生も、今年度はほぼ通常通りの状況で少なくとも中3課程を学んできたこともあり、今年こそは平均点が何とか回復してくると思われます。
 
 
「コロナ禍に伴うこどもの学力低下への影響」は思いのほか大きいと考えざるを得ないことがわかってきたので、指導する側としては改めて「慎重に接する必要性」を感じた次第です。