数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

“美しい”整数を調べてみよう!

入試もほぼ終わり余裕のあるこの時期、「整数」に首を突っ込んでみてはいかがでしょうか。
 
整数に関する様々な性質は、何かを習った後でないと学べないものではなく、いつでも誰でも学び始められます。
 
ですから、早いうちに取り組み始めた方が、もし興味を持てるのであれば、今後に色々と役立てられます。
 
その過程で、もし“美しさ”まで感じることができれば、「整数問題」を得手とする道の入口に立っていると言えるでしょう。
 
 
例えば、
「その数自身を除いた全ての約数の和」
で表すことができる、
完全数
は知っている人も多いかもしれません。
 
初見の人のために記しておくと、最小の完全数は、
「6=1+2+3」
で、その次は
「28=1+2+4+7+14=1+2+3+4+5+6+7」
となります。
 
どうでしょう、“美しい”と感じますか?
 
では、
「その次の完全数はいくつになるか」
調べてみましょう。
 
 
また、古くから親しまれてきた
小町算
も“美しさ”を感じられるものの一つでしょう。
 
中学課程に入ると「負の数」を扱うようになるので、その導入で例えば
「1~8の8個の異なる1桁の整数と+,-を用いた式=0」、
「12□3□4□5□67□8□9=100」
となる式を作ったりすることでしょう。
 
 
毎年、かなりの難問になることもある「最後の大問」が十八番である都立西でも、“美しい”整数に関する出題がありました。
 
先日言及した「都立(一般)入試/数学の易化」と同様の影響があるのか、今年の都立西の最後の大問も比較的取り組み易い内容でした。
 
I.C.U.の入試問題を彷彿とさせる長文の出題形式でしたが、多数の文字に振り回されなければ、内容的には平易なことを問うているに過ぎません。
 
毎年かなりの難問となる最後の設問は、
「(a+b+c)の3乗=100a+10b+c」(*1)
(aは1~9の整数、b,cは0~9の整数)
となる整数があることに言及した上で、
「(p+q+r+s)の4乗=1000p+100q+10r+s」(*2)
(pは1~9の整数、q,r,sは0~9の整数)
を求めさせるものでした。
 
(*1)は、いわゆるデュードニー数で、別にこの名前やどんな数かなどは知らなくても、何の問題もありません。
 
a,b,cの条件からは、
「1≦a+b+c≦27」
となりますが、
「3乗して3桁の整数」
でなければならないので、
「5≦a+b+c≦9」
とわかりますね。
 
ここまで絞り込んでおけば、後は5個の計算をするだけで、
「(5+1+2)の3乗=512」
と導けますね。
 
同様に考えていけば、(*2)を満たす整数も簡単に求められるはずです。
 
 
かつての偉人たちによって、様々な“美しい”整数が見つけ出されており、それらを調べていくだけでも良質な勉強となることでしょう。