数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

サクッとできればOK!(因数分解編)

上位校入試における「小問集合」は、そこそこ時間のかかるような問題が待ち構えている場合が多いですね。

そこでリズムを崩され、次問以降に影響を与えるような事態を招かないようにするためにも、“鉄則の遂行”を心がけることで平常心を維持しましょう。

因数分解せよ」という問題は、必ずできるように作られているので、落ち着いて解ききりましょう。


【問題】
下記の式を因数分解せよ。

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(2014慶應義塾


【解説】
「工夫して式変形」してから因数分解しようと試行錯誤していると、思わぬ時間がかかってしまったり、最悪解くのを諦めてしまう可能性もあり得ます。

そこで、下記のように解き進めるのが無難です。


「aもしくはbについて2次式」なので、どちらの文字に着目しても構いませんね。

「aに着目して整理」した上で、
“たすき掛け”で因数分解して、
∴与式=(a+b+ab-1)(a+b-ab+1)


もちろん、解き慣れている人は、
「(□の2乗)-(△の2乗)」
の形に式変形してから因数分解してもらって構いません。


このような問題は、鉄則を守っていれば必ず解けます。
少しでも迷ったならば、鉄則に立ち返りましょう。

連立方程式-2

入試問題では、冒頭に「小問集合」があることが多いですが、ここを短時間で確実に得点源にできるかが合否に大きく影響してきます。

連立方程式」を正しく解くのは当然のこととして、最短ルートで解けば時間を稼げますね。


【問題】
次の連立方程式を解きなさい。
(2+√2)x+(2-√2)y=√2
(2-√2)x+(2+√2)y=-√2


【解説】
よくあるパターンの連立方程式なので、解いた経験があるかもしれません。

普通に解くならば、まず
「1文字消去する」
ことを考えますね。

比較的取り組みやすい係数なので、まぁそれでも構わないでしょう。

しかし、まず両式を
「辺々加える」
と、計算が楽になる場合があることを覚えておきましょう。

すると、綺麗に√が消えて、
「x+y=0」
という式が得られます。
これで一発で、
∴x=1/2,y=-1/2

(2015東海)

連立型の不定方程式

入試も間近に迫ってきましたので、確実に得点源にできるものに対しての備えも、万全にしておきましょう。


「未知数3つに対して方程式2つ」なので、結果的に不定方程式となる問題です。

どのような方法でも構いませんが、短時間に解ききれれるように心がけましょう。


【問題】
x,yについての連立方程式
(1) 2ax+y=36
(2) -x/2+y/8=-3
の解がともに整数となるような自然数aの値の個数を求めよ。


【解説】
まずはyを消去して、
a=30/x-2
(∵x=0のとき題意を満たさないので)

aは自然数なので、
「xは10以下の30の約数」
(x=1,2,3,5,6,10)

また(2)より、
y=4x-24
となることから、
「xが整数ならばyも整数」
となることがわかります。

∴a=1,3,4,8,13,28の6個

(2014中央大学杉並)

角の二等分線の長さ

進学塾または独学で発展的内容を学習している、もしくは中高一貫校在学の中学生ならば、「ああ、あの公式ね」と思ったかもしれません。

高校入試で「角の二等分線の長さ」を求めさせる問題は少ないですが、たとえ公式を知らなくとも、許容範囲の時間内に求めることは可能です。

その際、必ずできるようにしておかなくてはいけない“あること”を活用できるか、がカギとなってきます。
それを確認しておくためにも、受験目前のこの時期にやっておく意義はあるでしょう。


では、青山学院(2019)の問題の与条件のままで、「角の二等分線の長さ」を求めてみましょう。
公式を使える条件がズバリ与えられている訳ではないので、ちょうどいい練習問題となります。

※青山学院(2019)の問題→
「サクッとできればOK!(角の二等分線編)」


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【問題】
△ABCにおいて、
∠Aの二等分線と辺BCとの交点をD、
∠Cの二等分線と辺ABとの交点をE、
線分ADと線分CEとの交点をFとする。
また、∠ABC=∠BCE,AC=5,CD=3とする。
このとき、線分ADの長さを求めよ。

[追加設問]
線分AF,CE,CFの長さを求めよ。
(他の「角の二等分線の長さ」も公式を使わずに求めてみましょう。)


(2020/1/11更新)

【解説】
まず振り返っておくと、
着目すべき相似な三角形は、
「△ABD∽△ACF」
でしたね。


△ACDに着目すれば、
AF:FD=5:3
となりますから、
AD:AF=8:5
よって、「△ABD∽△ACF」から、
BD:CF=8:5

ここで、
「△CDFが二等辺三角形」より、
CD=CF=3
となるので、
BD=3×8/5=24/5
AB=5×8/5=8
(※公式を知っていれば、ここから一発ですね。)

また、
BC=24/5+3=39/5
と求めておき、ここまでが下準備となります。


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次に、Aから辺BCへおろした垂線の足をHとします。
HC=xとして、
(5の2乗)-(xの2乗)=(8の2乗)-{(39/5-x)の2乗}
を解いてx=7/5
よって、
AH=24/5

必ずできなければいけない“あること”とは、
上記のように、
「3辺の長さがわかる三角形の高さ」
を求めることです。

後は、△AHDで三平方より、
∴AD=8√10/5


公式を知らない場合は、下準備以降の計算が若干面倒ですが、十分に許容範囲ですね。

余裕がある人や中高一貫校在学生は、
「AD=√(AB×AC-BD×CD)」
という公式を導く原理を理解した上で、正確に使いこなしましょう。
しかし、高校入試に向けては、今から覚える必要はありません。

また、「中線の長さ」を求める公式もありますが、これも公式を使わずとも、上記と同様な流れで求めることができます。


※数値設定によっては、公式を使わないとかなり面倒な計算になってしまうこともありますが、最難関レベルになると、その計算力を問うてくることもあります。


(2020/1/12更新)

[追加設問/解答]

特にCE,CFに関しては、公式に頼ってばかりでは逆に手間がかかってしまいますね。

発展公式はあくまで手段の一つととらえ、臨機応変に一番楽な手段を選択できるように備えておきましょう。


△ABD∽△ACFより、
AF=AD×5/8=√10

△CDFは二等辺三角形なのでCF=CD=3

AE=25/8と求まるので、
EF:CF=AE:AC=25/8:5=5:8
∴CE=CF×13/8=39/8

線分の折り曲げ/解説(2019大阪教育大学附属・池田校舎)

今回の問題は、2019年の大阪教育大学附属(池田校舎)の入試問題を、そのままもってきたものです。

【解説】
(2)
まず、AC=yとおきます。

題意より、
「△PADは底角30゜の二等辺三角形
となるので、
PA=PD=(√3)y,AD=3y
よって、
(√3)y+3y=6
∴y=3-√3


(3)

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題意より、
CPA=∠CAP=a,
∠DPB=∠DBP=b
とおきます。

すると、△PCDの内角の和より、
2a+2b=90゜

また、題意より、
QA=QP=QB
は明らかなので、
「3点A,P,BはQを中心とする円周上の点」
とわかります。

よって、
「円Qにおける中心角・円周角」
の関係から、
∠AQB=2a+2b=90゜

ということは、
「△AQBは直角二等辺三角形
とわかるので、
∴PQ=3√2



なお、
「∠CPDが一定の角度」
となるように線分AB上にC,Dをとるならば、
「PQの長さは一定」
となることを理解しておきましょう。

ここでは省略しますが、自分で導いておくと上位校の入試に役立つでしょう。
“動点・軌跡”問題でよく用いられる論理です。

また、
「(A,Q,D,P)および(B,Q,C,P)は各々共円
であることもわかりますね。

線分の折り曲げ

線分を“太さのない糸”のようなものとみなして考える問題です。
基本的には、「平面図形の折り返し問題」と同様に取り組んでいけばいいですね。

一見簡単そうですが、限られた時間内での論理展開力が問われている問題です。


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【問題】
長さ6の線分AB上に2点C,Dをとり、この2点で線分ABを両端が重なるように折り曲げる。
重なった点をPとすると、△PCDは∠CPD=90゜の直角三角形となった。
もとの線分ABと点Pについて、次の問いに答えよ。

(1)AC=1のとき、線分BDの長さを求めよ。

(2)∠PAC=30゜のとき、線分ACの長さを求めよ。

(3)線分APと線分BPの垂直二等分線の交点をQとするとき、線分PQの長さを求めよ。


【解説】
(1)
BD=xとおいて、△PCDで三平方より、
1+xの2乗=(5-x)の2乗
∴x=12/5


残りの(2),(3)を、余り時間をかけずにできたらOKです。

(答え; 3-√3,3√2)

整数or自然数-2

「“2020”問題(西暦年数問題)/続編」の改題です。
注意力が不足しているとミスを犯す可能性があるので、入試に備えて再確認しておきましょう。


【問題】
√(2020+2m)が自然数となるような整数mのうち、3番目に小さな数を求めよ。


今回は、あらかじめ注意喚起しているので、ミスは犯さないかもしれません。
しかし、入試本番では緊張していることもあり、“思わぬミス”を犯しがちであることを念頭において備えましょう。


(2020/1/6更新)

【解説】
もともとの問題は、
「√(2020+2m)が“整数”となるような最小の“自然数”mを求めよ。」
でした。
今回は、
「√(2020+2m)が“自然数”となるような“整数”mのうち…」
となっていますので、“整数or自然数”のチェックを注意深く行う必要がありますね。

まず、
「√(2020+2m)が自然数
とならなければいけないので、
「√の中=2020+2m=0」
の場合は除外しなければいけませんね。

よって、最小のmは、
「√の中=2020+2m=4」
の場合で、
2番目に小さなmは、
「√の中=2020+2m=16」
の場合となるので、
3番目に小さなmは、
「√の中=2020+2m=36」
の場合となりますね。

∴3番目に小さなm=-992