進学塾または独学で発展的内容を学習している、もしくは中高一貫校在学の中学生ならば、「ああ、あの公式ね」と思ったかもしれません。
高校入試で「角の二等分線の長さ」を求めさせる問題は少ないですが、たとえ公式を知らなくとも、許容範囲の時間内に求めることは可能です。
その際、必ずできるようにしておかなくてはいけない“あること”を活用できるか、がカギとなってきます。
それを確認しておくためにも、受験目前のこの時期にやっておく意義はあるでしょう。
では、青山学院(2019)の問題の与条件のままで、「角の二等分線の長さ」を求めてみましょう。
公式を使える条件がズバリ与えられている訳ではないので、ちょうどいい練習問題となります。
※青山学院(2019)の問題→
「サクッとできればOK!(角の二等分線編)」
【問題】
△ABCにおいて、
∠Aの二等分線と辺BCとの交点をD、
∠Cの二等分線と辺ABとの交点をE、
線分ADと線分CEとの交点をFとする。
また、∠ABC=∠BCE,AC=5,CD=3とする。
このとき、線分ADの長さを求めよ。
[追加設問]
線分AF,CE,CFの長さを求めよ。
(他の「角の二等分線の長さ」も公式を使わずに求めてみましょう。)
(2020/1/11更新)
【解説】
まず振り返っておくと、
着目すべき相似な三角形は、
「△ABD∽△ACF」
でしたね。
△ACDに着目すれば、
AF:FD=5:3
となりますから、
AD:AF=8:5
よって、「△ABD∽△ACF」から、
BD:CF=8:5
ここで、
「△CDFが二等辺三角形」より、
CD=CF=3
となるので、
BD=3×8/5=24/5
AB=5×8/5=8
(※公式を知っていれば、ここから一発ですね。)
また、
BC=24/5+3=39/5
と求めておき、ここまでが下準備となります。
次に、Aから辺BCへおろした垂線の足をHとします。
HC=xとして、
(5の2乗)-(xの2乗)=(8の2乗)-{(39/5-x)の2乗}
を解いてx=7/5
よって、
AH=24/5
必ずできなければいけない“あること”とは、
上記のように、
「3辺の長さがわかる三角形の高さ」
を求めることです。
後は、△AHDで三平方より、
∴AD=8√10/5
公式を知らない場合は、下準備以降の計算が若干面倒ですが、十分に許容範囲ですね。
余裕がある人や中高一貫校在学生は、
「AD=√(AB×AC-BD×CD)」
という公式を導く原理を理解した上で、正確に使いこなしましょう。
しかし、高校入試に向けては、今から覚える必要はありません。
また、「中線の長さ」を求める公式もありますが、これも公式を使わずとも、上記と同様な流れで求めることができます。
※数値設定によっては、公式を使わないとかなり面倒な計算になってしまうこともありますが、最難関レベルになると、その計算力を問うてくることもあります。
(2020/1/12更新)
[追加設問/解答]
特にCE,CFに関しては、公式に頼ってばかりでは逆に手間がかかってしまいますね。
発展公式はあくまで手段の一つととらえ、臨機応変に一番楽な手段を選択できるように備えておきましょう。
△ABD∽△ACFより、
AF=AD×5/8=√10
△CDFは二等辺三角形なのでCF=CD=3
AE=25/8と求まるので、
EF:CF=AE:AC=25/8:5=5:8
∴CE=CF×13/8=39/8