数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

楽に「線分の長さ」を求めよう!(2020広島大学附属)

ノーマルな問題ではありますが、場合によっては面倒な方法で解こうとする可能性もあるので、一応やっておきましょう。

なお、受験生でこの問題が解けない場合は、「線分の長さ」を求める練習が不足している証拠です。
様々な問題を解きながら、今一度徹底的に復習しておきましょう。
(※「三平方の基礎」が未習であるならば、解けなくても仕方ありません。)


【問題】

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AB=AC=9,BC=6の△ABCがある。
∠ABCの二等分線上にAD〃BCとなる点Dをとり、辺ACと線分BDの交点をEとする。
このとき、点Eから辺ABに下ろした垂線EFの長さを求めよ。


(答え;12√2/5)


【解説】

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まず、題意より、
「AE:EC=3:2」(*)

ここで、
「AE,BEの長さ」
を求めることで、
「△ABEの3辺」
からEFを求めようとするのは、計算が大変なだけですから避けるべきです。

また、
「△ABEの面積」
に着目してEFを求めることもできますが、これもやや面倒です。

一番楽なのは、
「点E から辺BCへ下ろした垂線EG」
の長さがEFの長さに等しいことを用いた方法です。

「点Aから辺BCへ下ろした垂線AH」
の長さが三平方からすぐ求まるので、(*)より、
∴EF=EG=AH×2/5=12√2/5

(2020広島大学附属・改題)

パズルを解いたら得るものあるかな?

コーヒーブレイクにでも、誰でも、何の準備も必要なく、気軽に取り組める「数入れパズル」です。
(※小学生は、「負の数」がネックとなってしまうので、現在扱っている「数の世界」だけで考えてみましょう。)



【問題】
○の中に、下記のルールで整数を書き入れて段状の表をつくる。

〈ルール〉
「○の中の数」
が、線でつながった
「下段の2つの○の中の数の和」
となるようにする。

例えば、
「最下段に左から3,-1,4」
が書き入れてある場合は、
「2段目は左から2,3」
「3段目は5」
となる。

このルールで、
「最下段の左端に1、右端に2、最上段に3」
が入るように、下図のような4段の表をつくるとする。

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このとき、
「2段目の真ん中(A)」
に書き入れることのできる最大の整数を求めよ。
但し、Aは2020以下の整数とする。



【解説】
このようなパズルを解き進めるにあたって、2通りのタイプがあると思います。

(1)あれこれ具体的な数を入れてみて解く糸口を探ろうとするタイプ
(2)理詰めで絞り込んでから解いていくタイプ

気軽にやるとなると、(1)のタイプで取り組み始める人が多いかもしれません。

しかし、入試問題だったとすると、できるだけ短時間に解きたいので、(2)で方向性を見極めてから取り組むべきでしょう。


そこで、
「最下段の左から2,3番目の整数をm,n」
とおきます。

すると、2段目は左から、
「1+m,m+n(=A),n+2」
3段目は左から、
「1+2m+n,m+2n+2」
最上段は、
「1+3(m+n)+2(=3)」
となりますね。

これでもう気づいたと思いますが、
「最上段に着目」
すると、
「m+n=0」
とならなければいけませんね。

つまり、
「A=0」
とならないと題意を満たさないので、
「Aの最大値も0」
ですね。


なお、小学生の場合は、
「○に入れることのできる数は0のみ」
なので、やりがいがなかったですね。

中学生以上は「負の数」を知っているので、あれこれ悩んだかもしれない問題だった訳です。



因みに、
「全ての○に2020以下の整数を入れる」
とすると、
「nに入れることのできる最小の数」
はどうなるかわかりますね?



「まずは理詰めで考える」
方が、“数学の問題を解く”にあたっては有効でしょう。

“ひらめき”は、
「様々な論理的理解の積み重ね」
と、
「向き合った事例数の多さ」
の末に脳がはじき出したものですから、万人に有効な手段ではありませんね。

そして、もちろん、実社会における諸問題は、“理詰め”で解決できるほど生易しくはありません。
しかし、それに取り組むための下地にはなってくれます。
そのために、学生の皆さんは「数学」を学んでいると言ってもいいでしょう。



(nの最小値;-2019)



〈つぶやき…〉
“ひらめき”のところで書いたことは、「AI」が得意中の得意とする分野で、それに関しては人の脳を遥かに超えています。
2045年”は、もうすぐそこです…

「ゲーム」なんぞは、AIがはじき出した
“人の脳の快楽物質を出させる仕組み”
が活用されているそうじゃないですか。
(そのように開発したのは人間ではありますが…。)

もし「依存」の傾向をもってしまったのならば、そんなものに踊らされた行く末は、一体どうなるのでしょうか…

サクッとできればOK!(最大公約数編)

入試の小問集合のうちの1問ですから、じっくり考えて解く問題ではありません。

制限時間は、どんなにかかっても「2分」でしょう。

もし、それ以内に解ききれない場合は、
「最大公約数・最小公倍数」
について、改めて復習しましょう。


【問題】
2020以下の自然数aと36の最大公約数が6であるとき、最も大きい自然数aを求めよ。


(答え;2進法で11111011010)


【解説】
題意より、
「a=6m」
とおけて、
「mは6と互いに素な自然数
となりますね。

ここで、
「2020以下の最大の6の倍数は2016」
となることから絞り込んでいけばいいですね。

「2016=6×336」
より、
「336は6と互いに素ではない」
ので不適

「2010=6×335」
より、
「335は6と互いに素」
なので適

∴最大のa=2010

(2020福岡大学附属大濠)

基本的な三角・四角形からの論理構築

誰もが知っている「基本的な三角形や四角形」のみで構成された図形問題です。

小学生用の問題は、当然、
「どのような論理で導き出されたのか」
をちゃんと説明できなければいけません。

幾何が苦手な子ほど、
「直感的に!」
「だって、図がそれっぽいから!」
などと言い張るケースが想定されますが、論理的に説明できないのであれば、理解できていない証拠です。


【問題】
AB=1の長方形ABCDがある。
「△ABEが直角二等辺三角形、四角形CDGFが正方形」
となるように、長方形の辺上に点E,F,Gを図のようにとる。
また、線分AEと線分FGの交点をHとすると、∠EDH=60゜となった。

(小学生用)HE:EDの比を求めよ。
(中3生以上用)線分DHの長さを求めよ。


(答え;1:1,√6-√2)


【解説】

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まず、題意より、
「△HFEは直角二等辺三角形
ですね。

これより、
「DG=DC,GH=CE,∠G=∠C」
となるので、
「△DGH≡△DCE」
がわかりますね。

ということは、
「∠EDH=60゜でDH=DE」
となるので、
「△DHEは正三角形」
とわかりますね。

∴HE:ED=1:1


「DH=x」
とおくと、
「GH=1-x/√2」
となるので、
「△DGHで三平方」
を用いて、
∴x=√6-√2 (x>0より)

三角形の外接円と内接円(初級編)

「三角形の内・外接円」
に関する問題は定番中の定番ですね。

とは言え、通塾生などでないと、現段階では未習の場合が多いかもしれません。

そこで、何とか解けるであろう問題をやってみましょう。



【問題】
座標平面上に、
A(-1,2),B(1,-1),C(4,1)
の3点がある。
この3点を通る円の中心の座標を求めよ。
また、△ABCの内接円の半径を求めよ。



(答え;(3/2,3/2),√13-√26/2)



【解説】
しっかり段階を踏んで学んできた人ならば、
「2つの辺の垂直二等分線の交点」
として中心の座標を求めようとするかもしれません。
(※「3点を通る円の作図」で学びましたね。)

全くそれで間違いはないですし、一般的にはそうすべきでしょう。

しかし、まずは、
「座標平面上に3点をプロット」
してみてから方針を考えるようにしましょう。

つまり、
「△ABCがどんな三角形か」
を把握しておくのです。

すると、
「AB⊥BC,AB=BC」
がわかるはずです。

よって3点を通る円の中心(外心)は、
「線分ACの中点」
となるので、
∴(3/2,3/2)

このように、
「2つの直線の式」
を用いずに求められる場合もあることを頭に入れておきましょう。


「内接円の半径(r)」
を求める方法はいくつかありますが、現段階では、
「三角形の面積に着目する方法」
で考えるのが一番わかりやすいでしょう。

√13×√13×1/2=(AB+BC+CA)×r×1/2
より、
∴r=√13-√26/2



実際の入試の頃には、もっと楽な方法で求められるようになっているはずです。

“未知数“をできるだけ少なくしてみよう!

文章題を解く際には、一般的には、
「できるだけ未知数を少なく」
して考えた方が手間は減ることが多いでしょう。
(※敢えて「未知数を多く設定」した方が考えやすくなる場合もあります。)

小学生も、
「未知数が1つ」
であれば、十分に解ききれるはずです。


次の問題も、素直に考えていくと、
「未知数を複数設定して連立方程式を解く」
という流れになるかもしれませんが、計算が面倒になりますね。

小学生ならば、なおのこと、
「未知数は1つ」
で考えたいところでしょう。

工夫して考えていけば、それは可能になります。



【問題】
12(km)離れているA地点とB地点の間を往復すると、
「行きは3時間14分、帰りは2時間58分」
かかった。
但し、
「上り坂では時速3(km)、下り坂で時速は5(km)、平地では時速4(km)」
で歩いたとすると、平地の距離は何kmだったか?


(答え;6)



上記は実際の入試問題なので、
「上り、下り、平地の3つの未知数」
を設定して解いている“模範解答”もありました…。

まぁ、「2つの未知数」設定で解く場合の方が多いとは思いますが、いずれにせよ、そんな面倒な計算やってられないですね!



【解説】
素直に「行き」と「帰り」で別々に考えようとすると、
「未知数を2つ設定」
する必要が出てきて、計算が面倒になるだけですね。

ポイントは、
「往復の距離で考える」
ことです。

そうすれば、
「上り坂と下り坂の距離」
が単純化できますね。


つまり、
「平地をx(km)」
とすると、“往復“で考えれば、
「上り坂と下り坂の各々の合計は12-x(km)」
となりますね。
(∵「行きの上り」は「帰りの下り」ですね。)

よって、
「(12-x)/3+(12-x)/5+2x/4=6時間12分」
という1次方程式が立てられるので、
∴x=6(km)


小学生も、例えば、
「平地を□(km)とする」
ことで、□を求める計算は十分にできるはずです。

(2020明大中野



このように、
「単純化して考える(楽に解こうとする)」
視点は大切です。

以前にも触れましたが、
“何とか楽にならないかと日々考えている横着者“
のお子さんは、将来数学が得意になる可能性を秘めているかもしれません。

https://mcafejr.hatenablog.com/entry/2019/06/26/%E2%80%9C%E3%83%9E%E3%83%9E%E7%AE%97%E2%80%9D%E3%81%A7%E3%81%93%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AE%E6%80%9D%E8%80%83%E5%8A%9B%E3%83%BB%E8%A1%A8%E7%8F%BE%E5%8A%9B%E3%82%92%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%AF

円に内接する四角形と対角線

タイトルから、様々な定理や公式を思い浮かべる人も多いことでしょう。

また、問題の与条件通りに図を描いてみても、“定番中の定番”の図なので、「あぁ、あれね」と素通りする人も多いかもしれません。

何はともあれ、サッと解けるのであれば、何も言うことはありません。

しかし、ガチャガチャ計算した末に解けたのであれば、解き方を再考してみた方がいいでしょう。


なお、今回の問題では敢えて図を提示していません。
問題文を元に、自分で描いて考えましょう。

「与えられる図」は、理解の助けになることもあれば、逆に“姑息なひっかけ”への誘導となってしまうこともあります。

時間が許す限り、
「与条件通りの図を自分で描く」
という習慣をつけておくことをお勧めします。


※「中3課程の円関連」が未習の場合は、手が出せないかもしれませんが、基本事項さえ把握していれば太刀打ちできます。



【問題】
長さ2の線分ABを直径とする円がある。
その円周上に、△ABCの面積が最大となるように点Cをとる。
また、点Cを含まない弧AB上に、BD=1となる点Dをとる。
四角形ADBCの対角線の交点をEとするとき、線分CEの長さを求めよ。



(答え;√6-√2)




「実需者としての生徒さん」
または
「保護者の方」
で、【解説】の閲覧を希望する場合のみ限定公開しています。

https://mcafejr2.hatenablog.com/entry/2020/09/02/161027