数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

小学生が兄・姉・親の鼻をあかす?問題

普段からやり込められている兄・姉、
いつも教えてもらうばかりで歯が立たない親に、
小学生が鼻をあかすことができるかもしれない問題です。

中学受験の勉強をしていたり、クイズや理詰めで考えるのが好きなタイプの小学生ならば可能だと思います。


【問題】
「3桁の自然数X」は10の倍数である。
「Xの各位の数を全て元の位とは異なるように並べ替えてできる3桁の自然数Y」は、Xより234小さい。
3桁の自然数Xを求めよ。


晩酌後のホロ酔いかげんの“堅物パパ”に、「どちらが早く解けるか」の勝負をもちかければ、こどもに花を持たせることができるかもしれません。



実は、これは「東京電気大高(2019)」の入試問題を改題したものです。

しかも、実際の問題では、
「Xの各位の数の和は10」(*)
という条件までつけて出題されています。
つまり、単なる「連立方程式の問題」です。

それを今回、なぜ(*)の条件を省いて出題したか?

小学生ならではの方法であれば、(*)の条件がなくとも解けてしまうからです。
逆に、学業から日が経つ大人であれば、「まず方程式を立てる」ことを考えるので、解き進め方に迷う可能性があるのです。
そこに、小学生の勝機もあるか、と。



【解説】
いわゆる「虫食い算」の取り組み方で臨めば、簡単に解けてしまいますね。

3桁の自然数Xは、
当然「一の位は0」となるので、
「百の位をa、十の位をb」とおきます。

すると、並べ替えた3桁の自然数Yは、
「百の位がb、十の位が0、一の位がa」
の場合しかあり得ないことがわかりますね。

「X-Y=234」となる訳ですから、
筆算の手順を追いながら考えていきましょう。

まず、
「0からaをひいて4」
とならなければいけません。
つまり、
「隣の位から10借りてきてaをひいて4」
となるので、
「a=6」
と、まずわかりますね。

次に、
「bから0をひいて3」
とならなければいけませんが、
先程「10を貸している」ことを考慮すれば、
「b=4」
と、わかります。

最後に、
「aからbをひいて2」
とならなければいけませんが、
今までに求めてきた、
「a=6,b=4」
で問題がないことが確認できます。

∴X=640


一方、中学生以上ならば、
「(100a+10b)-(100b+a)=234」
という方程式をまず立てたはずです。

整理して、
「99a-90b=234」
両辺を9で割って、
「11a-10b=26」
という式が導き出されます。

いわゆる“不定方程式”となりますが、
「a,bの条件」から絞り込んでいき、
「a=6,b=4」
にたどり着く訳ですね。
もっとも、26(一の位が6)になることから、すぐに絞り込めるはずではあります。



学業から遠ざかっていた大人は、不定方程式が出てきた後は、グチャグチャ当てはめながら考えるでしょう。
不定方程式に慣れていない中学生ならば、大人と同様でしょう。
そんなこんなしているうちに「小学生がサラッと解いてしまう」、という筋書きでしたが、いかがでしたでしょうか。



冒頭の話題に立ち返れば、
「入試問題の出題意図としては、単なる連立方程式問題としたかったため、本来的には不要な条件を付与した」
ということになります。