数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

正十二面体問題(2018筑波大附属駒場)

公立校の入試問題においては、問題で示される図がほぼ正しく描かれています。
ですから、その図を参考にして解く手がかりを見つけていくことも可能です。

しかし私立校では、“問題の与条件とは異なるような見えがかりの図”を示すことで、特に幾何が苦手な受験生を混乱させることが少なからずあります。
これは、混乱させられる方が悪いのですが、姑息な感も否めません…。

それに対処するためには、面倒がらずに“与条件通りの図を描き直す”作業を是非とも行いましょう。


例えば、2018年の筑駒では、正十二面体を題材にした問題が最後に出題されました。

国立大附属校なので、実際の立体どおりの図が示されており、その図を参考にしながら解ききることも十分可能でした(むしろ先に解いておくべき平易な問題だったでしょう)。

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(1)
図を用いて数えて構いません。

(2)
例えば、立方体AGPN-CISLで考えてみましょう。
「1辺AGの長さ(=1辺2の正五角形の対角線の長さ→黄金比を用いて求まります)の3乗」
で体積が求まります。

(3)
点F,Jと同じ水平面上の5点を結べば正五角形FHJLNとなります。
FJはその対角線なので、これも先程のAG(=正五角形FHJLNの1辺の長さ)から黄金比を用いて簡単に求まります。


難関校をめざすならば、「黄金比」の知識は必須と思っておくべきでしょう。



(2021/9/15更新)
2021年は、灘や大学入学共通テストにおいて、久しぶりに正十二面体問題が出題されました。

難関校が題材とすることが多いですが、様々な長さを求める計算がやや面倒になるだけに、問われる内容は大体絞られてきます。

灘の問題も、上記内容が理解できていれば簡単に解けたはずです。
しかも、「正五角形の対角線の長さ」まで与えられていたので、尚のこと楽勝だったでしょう。