数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

等積図形の作図(2020都立八王子東)

数学における「作図」とは
・定規(直線を描く)
・コンパス(円弧を描く、同じ長さをとる)
のみを用いて図を描くことです。

例えば、正多角形は“分度器”を用いても描けますが、「数学の作図問題」では御法度となります。


中学生の皆さんは、
「線分の垂直二等分線」、
「角の二等分線」
といった基本の作図法をまず習いますね。

作図が苦手な生徒に共通していることは、
「作図法を覚えようとしている」
ことです。

大切なのは、
「なぜその作図法で描けるのか」
という原理をしっかり理解することです。
(三角形の合同から簡単に導けますね。)

それができていれば、“覚える”ような手間は不要になるはずです。
(※中学課程の数学全般に言えることなのですが…。)

なお、作図法を習うのは“ほんの一時期”だけですが、その原理を用いて解く問題はこれから多数出てきます。
平行線、垂線、60°…等の手法を駆使して作図を楽しめるようになれれば、幾何にも強くなるはずです。


では、等積図形の原理を用いて解く作図問題をやってみましょう。


【問題】

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Oを中心として半径OAのおうぎ形OABがある。
線分OA,OBの中点をそれぞれC,Dとする。
また、弧AB上の点をPとし、OPと弧CDの交点をQとする。
図のように図形S,Tを定めるとき、S=Tとなるような点P,Qの位置を作図せよ。


【解説】
まず、
「S=T」
ということは、
「おうぎ形OCD=おうぎ形OAP」
とわかりますね。

よって、
OA=OB=2r
∠POB=m°
AOP=n°
とおいて方程式を立てれば、
「m=3n」
と導けます。

これより、
「直線OPは∠AOBの四等分線」
つまり、
「∠AOB×1/2×1/2=∠AOP
となるので、下図のように作図すればいいですね。

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