数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

小学生も“アクロバティック”な補助線を考えてみよう!

「算数・数学に苦手意識がある訳ではないのにテストの点数が今一つ伸びない子」などによく見受けられるのが、
「図が○○のように描かれているから…」
と、
“与えられた図を与条件”
として解き進めてしまうことです。

「“与条件”は必ず問題文から読み取る」
ことが大切で、
「“与えられた図”は参考程度にとどめておく」
必要があります。

時には、“与えられた図”によってわざと混乱させるような問題(姑息すぎるのですが…)もあるので、十分に注意しなければなりません。
“与条件”と明らかに異なる図である場合は、描き直した方がいいでしょう。


今回の問題も、
「図が平行っぽく描かれているから…」
と勝手に解釈して解き進めてしまったのならば、要注意です。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


前回の問題の解き方を初めて知った人は、
「そんな補助線思いつかないよ~」
と思わず口走ったかもしれませんね。

正に「ごもっとも!」なのですが、勉強というより“幾何の遊び”と捉えてください。

これらの問題を使って教えるべきことも多数あるのですが、「解けるように」鍛錬する必要性はあまりありません。

もしも、小学生相手に、
「こうやって解くんだよ!」
と類題をいくつも解かせて鼻高々となっている先生がいたとしたら、疑問符がつかざるを得ません。

確かに中学入試で出題されたこともありますが、これに対する対策の時間があれば、他のことをすべきでしょう。

せいぜい、「○○講習時の“息抜き”」にちょっとやってみるだけで十分です。
算数が好きな子は、一度やらせたら、むしろ自ら食いついてくることが多く、そのような子たちのための“レクリエーション”にはいいでしょう。


では、在宅が続く中での“レクリエーション”として、もう1問やってみましょう。
前回と同様、“アクロバティック”な補助線が必要となってきます。

なお、小学生には、
「三角形がピッタリ重なり合う(合同)」
ための条件だけ、事前に確認してあげてください。
その際、
「回転させても裏返してもいい」
と念押ししてあげましょう。


【問題】

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図のような四角形ABCDにおいて、
∠ABD=20゜
∠CBD=20゜
∠ACB=30゜
∠ACD=50゜
のとき、∠ADBの大きさ(x゜)を求めよ。


【解説】

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まず、△ABCをACを“折り目”として“折り返し”ましょう。
これにより、点Bが点Eに移ったとします。

すると、
「∠BCE=60゜かつCB=CE」
であることから、
「△CBEは正三角形」(*1)
となりますね。

また、
「∠BDC=80゜」
であるので、
「△BCD二等辺三角形
となり、
「BC=BD」
とわかります。(*2)

さらに、
「∠ABE=20゜」(*3)
と、
「折り返したのでAB=AE」
より、
「∠AEB=20゜」(*4)

よって、(*1)~(*4)より、
「△ABD≡△ABE」
となるので、
「∠ADB=∠AEB」

∴∠ADB=20゜


※結果的には、「AD〃BC」だったとわかりますが、くれぐれも“与条件のくみ取り方”には十分注意しましょう。


【別解】
「△ABDをABを軸として線対称移動」
させる補助線でもいいでしょう。