多面体の体積は、
「その立体をどう捉えるか」
によって簡単に求められたり、逆に面倒になったりします。
世の中の出来事を、
「多様な面から捉える力」
を養うためにも、このような初等幾何への取り組みも一つの訓練になるでしょう。
下記は、今年のある高校の入試問題です。
高校受験生ならではの解き方もありますが、小学生でも解ける方法がありますね。
(※「錐体の体積」や「各種四角形の面積」を求められる小学生ならば可能。)
【問題】
1辺4の立方体ABCD-EFGHがある。
辺EF上にEP=1となる点Pをとり、
辺BC,CD,GH,FGのそれぞれの中点をQ,R,S,Tとする。
このとき、五面体PQRSTの体積を求めよ。
(答え;40/3)
【解説】
まずは、「高校受験生用の基本解法」から。
この五面体を、
「四角錐P-QRST」
と捉えるのが正攻法でしょう。
「面QRST⊥面ACGE」
であることから、
「点Pから面QRSTまでの距離(=5√2/2)
は簡単に求められますね。
∴2√2×4×5√2/2×1/3=40/3
一方小学生は、そもそも、
「線分QRの長さ」
を求めることができないので、
「四角錐P-QRST」
と捉えたとしても体積を求めることができませんね。
そこで、
「辺AB上にAU=1となる点U」
をとると、
「三角柱UQR-PTS」
の体積は求めることができますね。
また、
「三角錐P-UQR」
の体積も求めることができるので、
「五面体PQRSTの体積」
は、
「(三角柱UQR-PTS)-(三角錐P-UQR)」
で求められますが、
「(三角柱UQR-PTS)×2/3」
で一発で求められるようにしましょう。
さて、再び「高校受験生用の解法」に戻ると、
“断頭三角柱”
としてこの五面体を捉えることができれば、もっと早く解けますね。
つまり、
「△PTS×(4+4+0)/3」
ですね。
※
「五面体」には他に、
「三角柱」、
「三角錐から三角錐を切り落とした立体」
がありますね。
後者の体積に関しては、“体積比”で求めるのが簡単ですね。
(←中学生はいずれ習います。)