数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

五面体の捉え方(2020都立新宿)

多面体の体積は、
「その立体をどう捉えるか」
によって簡単に求められたり、逆に面倒になったりします。

世の中の出来事を、
「多様な面から捉える力」
を養うためにも、このような初等幾何への取り組みも一つの訓練になるでしょう。

下記は、今年のある高校の入試問題です。
高校受験生ならではの解き方もありますが、小学生でも解ける方法がありますね。
(※「錐体の体積」や「各種四角形の面積」を求められる小学生ならば可能。)


【問題】

f:id:booterpig:20200403133039j:plain

1辺4の立方体ABCD-EFGHがある。
辺EF上にEP=1となる点Pをとり、
辺BC,CD,GH,FGのそれぞれの中点をQ,R,S,Tとする。
このとき、五面体PQRSTの体積を求めよ。


(答え;40/3)


【解説】
まずは、「高校受験生用の基本解法」から。

この五面体を、
「四角錐P-QRST」
と捉えるのが正攻法でしょう。

「面QRST⊥面ACGE」
であることから、
「点Pから面QRSTまでの距離(=5√2/2)
は簡単に求められますね。

∴2√2×4×5√2/2×1/3=40/3


一方小学生は、そもそも、
「線分QRの長さ」
を求めることができないので、
「四角錐P-QRST」
と捉えたとしても体積を求めることができませんね。

f:id:booterpig:20200404134214j:plain

そこで、
「辺AB上にAU=1となる点U」
をとると、
「三角柱UQR-PTS」
の体積は求めることができますね。

また、
三角錐P-UQR」
の体積も求めることができるので、
「五面体PQRSTの体積」
は、
「(三角柱UQR-PTS)-(三角錐P-UQR)」
で求められますが、
「(三角柱UQR-PTS)×2/3」
で一発で求められるようにしましょう。


さて、再び「高校受験生用の解法」に戻ると、
“断頭三角柱”
としてこの五面体を捉えることができれば、もっと早く解けますね。

つまり、
「△PTS×(4+4+0)/3」
ですね。



「五面体」には他に、
「三角柱」、
三角錐から三角錐を切り落とした立体」
がありますね。
後者の体積に関しては、“体積比”で求めるのが簡単ですね。
(←中学生はいずれ習います。)