数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

古典問題にお風呂でチャレンジ!

(2020/4/14更新【別解】)

ずっと在宅のままでは、生活に変化が欲しいですね。

下記は、簡単な準備だけで、実際に試しながら考えることができる“論理問題”です。
お子さんとお風呂に入りながらでもやってみてください。

クイズやなぞなぞが好きな人は、どこかで見たことがあると思います(“油分け算”)。


【問題】

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容量が10,7,3の容器が1つずつある。
容量10の容器が満水の状態であるとき、この水を二等分する方法を考えよ。
(※容器形状は関係ない方法とする。)


実際に試してみる場合は、この問題の意図しない解決法を見つけるお子さんもいるかもしれません。
それはそれで“賢い”証拠でもあるのですが、今回は論理の構築方法を学ぶことを目的としましょう。

「意図しない解決法」を除外させるには、できるだけ“不整形な容器形状”であることが好ましいです。


円柱状のペットボトルなどを切断して作れば、中間部分と底の部分の形状も異なり、ちょうどいいと思います。
※なお、ペットボトルは透明なので、容量10と容量7の容器は“異なる形状(円柱と角柱等)”のものが好ましいです。


例えば、
「計量カップで200mlと140mlと60ml」
を量って水面ラインでペットボトルを切断します。

各容量が正確に
「10:7:3(すりきり)」
となるように容器を作っておくと、解決法を見つけた時に気持ちがいいでしょう。

最後は計量カップに入れて、水量の目盛りが「100ml」となれば正解ですね。


初見の人の“お楽しみ”のために、正解は明日(以降)アップすることにします。

なお、解決法は1通りだけではありません。

ただ闇雲に試行錯誤するのではなく、方向性を見定めた上で考えを巡らせましょう。


【解説】
今回のように、
「結論がわかっている問題」
に対処する場合は、まず
「結論に至る一歩手前の状態を考えよ」
が鉄則です。

つまり、
「証明問題」
「作図問題」
などは、この鉄則に則って解き進めていけばいい訳です。


さて、今回の問題の場合は、
「5=1+4」(*1)
「5=2+3」(*2)
の2パターンがまず考えられますね。

しかし(*1)の場合は、
「水量1も4も容器がない」
ので後回しにすべきですね。

一方(*2)の場合は、
「容量3の容器はある」
ので、
「水量2をつくればよい」
という考えに至ります。

後は、その方法を考えていくだけです。

下の「数の列」は、左から
「容量10-容量7-容量3」
の各容器に入っている水量を順次表したものです。

10-0-0
7-0-3
7-3-0
4-3-3
4-6-0
1-6-3
1-7-2
8-0-2
8-2-0
5-2-3
5-5-0


で、再び(*1)の場合を考えてみると、
「水量1や4をつくる」
ことはできるものの、
「残りの容器で水量4や1をつくる」
ことはできませんね。


なお、「この問題の意図しない解決法」とは、
例えば、容器が“整形の円柱や直方体”だと、
「容器を慎重に傾けていく」
ことで水量を二等分することはできますね。
(※“柱体の1/2の体積”を求める方法ですね。)

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まだ、別の方法もあるので考えてみてください。


【別解】
捉え方を転換してみると、
「5=7-2」
という“引き算”で考える方法もありますね。
(※「5=10-5」は考える必要はありませんね。)

10-0-0
3-7-0
3-4-3
6-4-0
6-1-3
9-1-0
9-0-1
2-7-1
2-5-3
5-5-0

「容量3の容器に水量1が入っている」
状態をつくれば、
「水量7から水量2を引く」
ことは可能となりますね。


このように、
「様々な角度から事象を論理的に捉える」
姿勢の大切さは、今後数学を学び進める中で実感することでしょう。

現実の社会・自然現象に起因する諸問題は、論理的に分析するだけで解決の道が見いだせるほど単純ではありませんが、「まずは論理的に捉えてみる」ことは大切な一歩です。
そんな事態に備えるために数学を学んでいる、といっても過言ではないでしょう。