数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

小学生でもチャレンジできる難関校の平均値問題(灘)

来年の都立高入試において、「三平方の定理」が出題対象外となるようですね。

となると、
“線分の長さを求めるための2本柱”
の1つがなくなることになり、幾何問題への影響がかなり大きくなってきます。
「比を複合させて解く問題」が、平面・空間共にメインになってくるのではないでしょうか。

もしくは、幾何以外で手の込んだ問題が出題されることも、十分に予想されます。


さて、いわゆる難関校でも中堅クラスの入試だと、一見難しそうな問題でも、あることに気づくことで比較的楽に解けてしまうものも結構あります。

しかし、トップレベルになると、工夫の余地のないようなゴリゴリの計算をさせたり、今までやったこともないような“強面問題”が出題されたりと、受験生の“強靭な前進力”を試してきます。

まずは、その入門編の問題を体験してみましょう。

今回も、難関校入試の大問からの出題ですが、高学年の小学生ならばチャレンジできる内容です。


【問題】
ある大学の入学試験において、合格者をx人、不合格者をy人とするとき、
|x-y|:x=6:7
であった。
ただし、|x-y|はx-yの絶対値を表す。

(1)x:yとして考えられる比を全て求めよ。

(2)各受験者の得点は全て整数の値であり、合格者の平均点は合格最低点より10.13点高く、不合格者の平均点は合格最低点より25.07点低かった。また、受験者全員の平均点は48.25点であった。合格最低点を求めよ。



【解説】
(1)
絶対値の中が
「正と負の場合」
に分けてから、比例式を解けばいいですね。
(※小学生は「線分図」等で考えれば、2通りの場合について比を求められますね。)

∴x:y=7:1, 7:13


(2)
未知数を文字で置き換え、方程式を立てるのが定石ですね。


(x:y=7:1の場合)
「合格最低点をa」
「x=7m,y=m(mは自然数)」
とおいて、
7m(a+10.13)+m(a-25.07)=8m×48.25 (*1)

(x:y=7:13の場合)
「合格最低点をa」
「x=7n,y=13n(nは自然数)」
とおいて、
7n(a+10.13)+13n(a-25.07)=20n×48.25 (*2)


ここで、
「各受験者の得点は全て整数の値」
とされていることから、上記の2パターンを吟味しましょう。

まず、(*1) ,(*2)のm,nは消すことができますね。
そして、受験者全員の合計点は整数になるので(∵整数の和)、左辺の合計も整数とならなければいけませんね。

よって、左辺の小数点以下のみに着目すれば、
「(*2)の場合のみ適」
だとわかります。

∴a=1220/20=61点


小学生は、文字を使わなくとも、
「合格者数を7、不合格者数を1」
等とおいて吟味すればいいですね。

あとは、
「面積図」
等を用いていけば求められますね。