数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

難関校の2元2次不定方程式(渋幕)

「2元2次の不定方程式」の中級編は、以前取り上げましたね。
https://mcafejr.hatenablog.com/entry/2020/05/20/153618

その1ステップ上のタイプが、例えば今回のような問題です。

因数分解」ができるようになったら、独学でも理解できるはずですから、難関校をめざす人は今から慣れておくといいでしょう。

三平方の定理」関連が出題されない場合は、中堅クラスであっても、このような傾向の問題が増える可能性はあります。

なお、本題に入る前の問題をしっかり解くことができないようであれば、「1次関数の基本概念」を再確認しなければいけません。


【問題】
座標平面上の異なる3つの直線
2x+3y=1,
ax+6y=1,
4x+by=1
が1点で交わっているとき、次の問いに答えよ。
(1)a,bの間に成り立つ等式を答えよ。
(2)a,bがともに自然数であるとき、その値の組(a,b)を全て求めよ。


(答え;3a+2b-ab=0,(3,9),(5,5),(8,4))



【解説】
(1)
まずは、
「座標平面上の異なる3つの直線が1点で交わる」
という条件をしっかり把握しておきましょう。

そのためには、式変形して考えた方がいいでしょう。

(ア)y=-2x/3+1/3
(イ)y=-ax/6+1/6
(ウ)y=-4x/b+1/b (b≠0)
とします。

条件を満たすには、
「直線の傾きは全て異なる」
はずですね。
よって、少なくとも、
「a≠4,b≠6」 (*1)
となることがわかります。

この条件を吟味しておかないと、当然正解にはたどりつけません。

(ア),(イ)の変形前の式よりx=1/(4-a)
(ア),(ウ)の変形前の式よりy=1/(6-b)

これらを(ア)の変形前の式に代入して整理し、
∴3a+2b-ab=0


(2)
改めて確認しておくと、2元2次の不定方程式は、
因数分解した式=整数」
の形に変形できれば解けましたね。

しかし、(1)式の左辺が、このままでは因数分解できないところがミソです。

a(3-b)-2(3-b)+6=0
(a-2)(3-b)=-6
(a-2)(b-3)=6

このように、強引に式変形してしまえばいいのです。

ここまでくれば、
「a,bが自然数かつ(*1)」
より、
(a-2,b-3)=(1,6),(3,2),(6,1)
の場合しか題意を満たさないことがわかります。

∴(a,b)=(3,9),(5,5),(8,4)