数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

“小数点以下3桁”で表される分数(2021開成・改題)

今年の都立入試においては特殊な試験範囲となりましたが、以前にも伝えたとおり、都立日比谷の問題は拍子抜けするほど平易な内容でした。

“整数関連は西”、“複合比関連は国立”とそれぞれの十八番があるので、出題内容がかぶるのを避けたかったのだとは思いますが…。

せめて、今回取り上げたような「理詰め問題」等を含めることで、出題レベルを維持して欲しかったですね。


下記は、難関校の入試問題なのですが、実際には誘導によって取り組みやすくしてくれてはいます。

それを、誘導を省略してやってみましょう。
一つずつ理詰めで考えていけば解けるはずです。



【問題】
「x/nを小数で表したとき、ちょうど小数第3位で終わる」
ような、正の整数x,nを考える。
言い換えれば、
「1000×x/nが整数となり、100×x/nが整数とならない」
ということである。
このとき、
「上記を満たす正の整数nの個数が20個」
であるような2桁の正の整数xを求めよ。

k,lを0以上の整数として、
「x=(2のk乗)×(5のl乗)×A」
と表されたとして考えてみよ。
(※(2の0乗)=(5の0乗)=1とし、Aは2,5を約数に持たない正の整数とする。)



【解説】
まず、
「1000×x/nが整数となるnの個数」
から、
「100×x/nが整数となるnの個数」
を引いたものが
「20個」
という方程式を立てればよいことがわかると思います。

ここで、
「Aの約数の個数をm個」
とすると、
「m(k+4)(l+4)-m(k+3)(l+3)=20」
となりますね。

整理すると、
「m(k+l+7)=20」
となり、
「k+l+7≧7」

「xは2桁の正の整数」
であることから、
「m=2(→Aは素数)」
と一つに絞られ、
「k+l=3」
とわかります。

よって、
「(k,l,A)=(2,1,3),(3,0,3),(3,0,7),(3,0,11)」
のとき題意を満たすので、
∴x=24,56,60,88



上記のように、
「xをどのように設定するか」
というヒントさえ与えられれば、誘導がなくとも答えにたどり着けるはずです。