「かなうものなら数学という科目は入試では避けたい…」
と思っている人は、志望校合格のための手段として、仕方なく解き方や公式を覚えるなどして凌ごうとしているのではないでしょうか。
本来「中高生のための数学」は、“論理的思考力を培う”ために学ぶ学問といえるでしょう。
時には“寄り道”のような経験もしながら、じっくり学んでいくべきものなのです。
とはいえ、入試(特に難関校)においては、
「いかに素早く正確に解ききるか」
が重要になりますから、効率性を追求していかないことには合格への扉は開けません。
しかし、こどもたちが普段の学習の全てにおいて、効率性を重視せざるを得ない状況に追い込まれているのだとしたら、危惧を覚えます…。
実際、近年の日本のこどもたちの「思考力を問うテスト」の結果は、国際的に比較してみても芳しいものではありません。
「じっくりとことん考える」
という過程を、
「“いかに楽しく数多く”経験させられるか」
がカギとなることは目に見えていますが、中々そこまで手が回らないのも実情でしょう。
このコロナ禍の状況では、それになお一層の拍車がかかってしまっているのであろうことは、こどもたちへのアンケート結果からも見て取れます。
「授業の進度が速すぎる、内容が難しすぎる」などの声が多数寄せられているようです…。
推理小説を読み解いていくように数学の問題にも接することができれば、少しは「考えた末の達成感」を味わうことができると思います。
そのためにも、
「問題文で与えられた条件をもとに“理詰め”で考えを展開していく」
ことに慣れていきましょう。
【問題-1】
ある6個のデータの値、
「26,28,23,32,16,28」
を見直してみたところ、この値のうち1つが誤りであった。
正しい値に直した上で計算すると、
「平均値は26、中央値は28」
であった。
このとき、どの値が誤りで、その正しい値はいくつであったかを求めよ。
【考え方-1】
まずは、
「平均値が26」
から何がわかるか?
次に、
「中央値が28」
から何がわかるか?
そして、2つのことから何が導けるか?
【解説-1】
まず第1ステップは、
「正しいデータの合計数値は26×6=156」
で、
「誤っていたデータの合計数値は153」
であることから、
「どれか1つの値が3足りない」
ことがわかります。
そして第2ステップは、
「中央値は28」
となることから、
「No.3とNo.4が28」
でなければならないこともわかります。
(※「28の値が既に2つある」のでこれ以外はあり得ませんね。)
よって、最後の第3ステップとして、
「どれか1つの値に3を加えて上記を満たす」
ことを考えると、
「26という値が誤り」
で、
「26+3=29が正しい値」
とわかりますね。
(2021慶應義塾・改題)
このように、何段階かの“推理”を積み重ねることで“解決”できる訳です。