新学年スタートを控え、塾や家庭教師派遣会社などが“増収増益に向けた販促活動”に躍起ですね。
お子さんを預ける保護者としては、彼等はあくまでもまず“事業体”であることを再認識しておく必要があります。
しかし、進学塾の存在意義を否定する気は全くありません。
特に、対応能力の高い優秀なお子さんの場合、進学塾等に通うことで、さらなる飛躍が可能となるでしょう。
適したお子さんには有益な“事業体”なのです。
しかしながら、いわゆる中堅以下レベルだと、しっかりお子さんの成り行きを見守ってあげていないと、言い方は悪いですが“金づる”にされるだけです。
なぜ、こんな辛辣な物言いをするのか。
それは、生徒を多数集めているような大手進学塾の教室(校舎)長は、満面の笑顔で「黒いものを白」と平気で言えるような人物がほとんどだからです。
中には、本当の人格者(そういう人は大体辞めていきますが…)もいるのでしょうが、特に大手でそのような人物を探すのは難しいでしょう。
多数の保護者と向き合ってきているだけあって、様々なタイプの保護者の扱い方に長けており、外面からは判断しにくいのが厄介なところです。
そんな人物たちに、成果が芳しくない旨を相談したところで、より多く通うコースやより高額な個別コースへ誘導されたり、「今辞めたら今までの努力が無駄になってしまいますよ」などと引き止められてズルズル…というのがオチでしょう。
もし本当に、そこでの指導がお子さんに合っていないままズルズル継続させてしまうと、逆にその後の学習への悪影響だけ授かってしまうこともあり得るのです。
もっとも、教室(校舎)長たちも、自分が生きていくために「組織の一員」として、そうならざるを得ない一面もあるのだろう、ということにしておきましょう。
調べた訳ではないので確かなことはわかりませんが、町中にある個人塾等の方が“こどもを任せておける人格者”に出会う確率は上がるかもしれません。
上記のような大手の運営スタンスに嫌気がさして個人塾を立ち上げた可能性もありますし、そうならば利潤追求を第一目的としている訳ではないと思います。
一方で、何らかの問題を抱えた人物が組織を離れざるを得ず、個人塾を立ち上げた可能性もあるでしょう。
いずれにせよ、お子さんを何らかの塾に通わせる場合、「知名度や組織の大きさを頼りに任せきりになってしまってはいけない」ということです。
お子さんが通塾するようになるのは、親が「通わせる」と判断したからこそでしょうが、塾には「単なる学習習慣をつけさせるためだけのもの」から「難関校をめざすためのもの」まで多様に存在し、お子さんに適した選択をしなければなりません。
まずは、その時のお子さんの状況に適しているであろう塾に、試しに通わせてみることです。
そして、本人の志向や状況が変わってきたら、それに応じて躊躇なく変更していきましょう。
「うちの子○○○やってたんですけど…」
この言葉は、中学途中あたりから急に数学ができなくなった何人かの生徒の保護者から聞いたことがあり、ずっと気になっていたものです。
○○○が得意とする計算だけは他にも引けを取らない場合が多く、「微分・積分までできる」と言っている生徒もいました。
確かに、方法さえ覚えれば微分・積分は小中学生にも簡単な計算です。
しかし、それにどんな意味があるのでしょうか。
おそらく、計算プリント?がどんどんできてしまうので、微分・積分まで進んだんだろうと思います。
微分・積分の意味をしっかり理解してこそ、初めて深い学びへとつながっていき、様々な考え方の統合も可能になるのです。
教材を調べたりしていないので、現在はカリキュラムも変わったのかもしれませんが、「○○○に通わせているから大丈夫」と任せきるのはやめた方がいいと思います。
当初の目的である「学習習慣」がついてきたのであれば、お子さん本人とよく話し合った上で、今度は「深く考えさせる指導」や「難関校をめざすための指導」を体験させてあげるべきでしょう。
大切なことは、いくら幼いとは言え、お子さん本人の同意なしに、親が勝手に決めてしまうものではないということです。
また、家庭状況によっては、お子さんを塾等に通わせることで“時間を買わざるを得ない”こともあるでしょうが、「塾は教える専門家だから…」などと言って任せきりにしてしまうのはやめましょう。
節目だけでも構わないので、しっかりお子さんへの適不適を見極めてあげてください。