数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

「なぜだろう?」と受験算数

以前にも記しましたが、「受験算数」を学ぶには、お子さんの精神的な成長度合いにより“向き不向き”があります。

中高一貫校に通わせたい親御さんの気持ちもよくわかりますが、“不向き”なお子さんに「大量の宿題と共に受験算数漬け」にすることは、将来的にも悲劇でしかないでしょう。


トップクラスを狙うようなお子さん以外に中学受験をあまり勧めない一番の理由は、お子さんに
「放課後や休日における小学生ならではの仲間同士の交流・体験」
を大いにしてほしいからです。

さらに中学受験の場合は、進学先をほぼ親が主導して決めざるを得ないことも問題をはらんでいます。
お子さんが表面上は合意していても、小学生ならば年齢的にまず親の意向に従うことを考慮すれば、心の底で不本意と感じていることは大いにあり得ることです。

中高一貫校に行かず、地元の公立中学で様々な家庭環境の男女の仲間達と過ごし、部活動にも精を出すことは、こどもが成長していく上で貴重な体験になるはずです。
そして、高校受験の頃には、自ら進学先についての判断もできますし、「中学受験のときの難関校」に挑むことも十分に可能です。
中学生の頃は、あらゆることに精を出すことが可能な時期であり、またその経験が将来に大いに役立ちます。
中3の夏まで部活動に全力で取り組んできた子ほど、高校受験直前までの学力の伸びはめざましいものがあるのも、紛れもない事実です。


一方で、難関中学受験を突破するような子たちは、才能に溢れていることは間違いありません。
ごくごく普通の小学生生活よりも、その才能を伸ばすことに時間を割くのも意義のあることでしょう。

難関進学校の校長曰く、
「中学入学組の方が高校入学組より大学受験での結果が良い」
というのも、さもありなんといった感じですが、だからといって高校入学組が劣っている訳では全くありません。
「もともと高い学力試験対応能力を磨き続けてきた」ことによる差でしかないでしょう。


つまり、中学受験を勧めるのは、トップクラスをめざすだけのあらゆる発展度合いが優れていて、自らもその道を邁進していくことに同意している子です。
そのような子たちは、早熟なので、進む道を自ら決めることは可能なのです。


そうでないのであれば、中学受験の過程は「小学生ならではの体験の機会」にあてるべきでしょう。
一番良くないのが、こどもの意向は関係なく親のこだわりで“大手の中学受験塾”に通わせることです。
小学生時代の貴重な時間や経済面で、子も親も失うものが大きくなるだけです。



<お子さんの方向性を見極めるために>

お子さんと一緒に新しいことに接したり、お子さんに何か尋ねられたりした際に、
「なぜだろうね?」
と常に問いかけるようにしてみてください。

小さい頃は、一旦自分なりの答えを言わせた後に、具体的なものを使って説明してあげましょう。
少し大きくなってきたら、自分で調べる手段を与えて、その答え合わせをしながら一緒に勉強しましょう。

お子さんが多かったり、忙しいときは、大変なのはよくわかりますが、お子さんの方向性を見極めるにはもってこいの方法です。

つまり、これらの過程に好奇心を抱くようであれば、受験算数を学ばせてもいいかもしれません。

「ものごとを、まず論理的に捉えてみる」習慣がついているか否かが鍵でしょう。



詳しくは下記の記事を参考にしてみてください。

「受験算数」の功罪
https://mcafejr.hatenablog.com/entry/2019/03/20/105608