数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

“カメ”である方が得策となる問題(2020都立)

先日2/21の都立入試(一般)の立体問題は、
「“ウサギ”が慢心している訳ではないのに、“カメ”の方が楽に勝ててしまう」
ような、なかなかの良問でした。

塾などで発展的解法を習っている受験生ほどミスを犯しやすく、愚直ともいえる方法で解いた受験生ほど正答を導き出せた可能性が高かったと思われます。


【問題】

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直方体ABCD-EFGHにおいて、図のような条件のとき、立体P-DQRHの体積を求めよ。



※もしも、答えが無理数になった場合は、“案の定のミス”を犯した証拠となります。



【解説】

<解法1>
まず考えられる方法が、
「底面DQRHに対する高さ」
を求めようとすることです。

犯しがちなミスが、
「点Pから線分DRまでの距離を高さ」
と考えてしまうことです。

正しくは、
「面DQRHに直交し点Pを通る平面」
で考えればよいので、下図のように、
「h(=9√5/5)が高さ」
に相当します。

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<解法2>
または、
「点Pを通る水平断面」
を用いて“断頭三角柱”として求める方法もありますね。


<解法3>
一方、初歩的な解法を用いると、
「四角柱BCDQ-FGHRから余計な錐体4つを取り除く」
ことになり、愚直に計算していくだけです。

若干計算量が増えますが、勘違いを起こさずに正答を導けたはずです。


∴立体P-DQRH=144