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「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

“30-60-90”三角形の辺の比(2022灘中)

トップレベルの中学入試問題となると、精神的にも余裕のあるときでないと、そもそも解いてみようという気さえおきないのが部外者の本音でしょう。

これを、制限時間内に解かなければいけない中学受験生には、本当に頭が下がります。

条件設定が短文の問題ならいざ知らず、面倒な条件設定がズラズラ書いてあると、もう…


そんなこんなで、一連の高校入試も終わり状況が落ち着いてきたので、あるトップレベル中学の入試問題を解いてみることにしました。

小学生と中学生以上とで、明らかに取り組み方に差が出てきたり、求める方向性をちょっと変えることで、学年に関係なく取り組めるようになる「定規直角三角形問題」がありましたので、“頭の体操”がてらにやってみましょう。


平方根・三平方」を習った中学生以上ならば、
“30-60-90゜の三角形の3辺比”
は基本事項ですね。

しかし小学生は、無理数を習っていませんので、
「最長辺は最短辺の2倍」
ということしか知りません。
(※三角定規2つで具体的にイメージできますね。)

その前提で解いてみましょう。



【問題-1】
「∠A=150゜,∠B=60゜,∠C=90゜,BC=5AB」
の四角形ABCDがある。
このとき、AD:CD=?



【問題-2】
1辺1の正十二角形の面積は、
「1辺1の三角形の面積×12+( 1 )」
となる。
この図形の12個の頂点のうち、3個とばしに選んだ3つの頂点を結んでできる三角形の面積は、
「1辺1の三角形の面積×6+( 2 )」
となる。

(1),(2)に入る数値を求めよ。



【解説-1】
「直線ABと直線BCの交点をD」
として考えると見えてきますね。
∴AD:CD=3:2



【解説-2】
出題形式より、まずは、
「正十二角形の1辺を辺とする正三角形」
をとります。

残りの図形を、
「“正十二角形の重心”を頂点とする合同な24個の三角形」
に分けて考えれば、その1つの面積は
「1×1/2×1/2=1/4」
と求められるので、
∴(1)=1/4×24=6

また、
「“正十二角形の重心から各頂点までの長さ”を1辺とする正三角形(A)」
に着目すれば、
「(2)の三角形=A×3」
であることがわかります。

すると、
「A=1辺1の正三角形×2+3×1/4」
となるので、
∴(2)=9/4