数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

直角三角形の“折り返し”

平面図形を“紙のようなもの”ととらえて折り紙のように折り返した設定の定番問題です。

難関校をめざしている受験生の中には、どこかで取り組んだことがあるかもしれない、ある種の有名問題でもあります。


【∠A=90゜の直角三角形ABCの辺BC上に点Dをとる。
線分ADを折り目としてこの直角三角形を折り返す。】

この折り返す条件が、
・「辺ABが辺ACに重なるように」
・「AC〃DBとなるように」
・「Dが中点のとき」
のような設定で出題されることが多いです。


この中の最後の条件で、図形どうしが重なっている部分の面積を求めさせる出題が、ある学校の今年の入試においてありました。

ところが、ある過去問集において、その“模範解答”がやけにまだるっこしいものでした。

この平面図形を、
「辺AB,ACが座標軸と重なるように座標平面上に置き直す」
ことをした上で解いていました。

どうしても埒があかない場合の一つの手ではありますが、この問題でそのチョイスをする必要は全くありませんね。

たとえ初見であったとしても、条件を図に描き込んでいくことで、
「相似三角形」
が見えてくるはずです。

「折り返した場合に何が成り立つか」
をしっかり理解してさえおけば、恐れる必要は全くない分野でもあります。
(※今のうちにしっかり慣れておきましょう!)


繰り返しになってしまいますが、くれぐれも
「過去問集の“模範解答”を鵜呑みにしない」
ようにしましょう。

何か少しでも疑問を感じたならば、信頼のおける先生に相談することを勧めます。



なお、定番の出題パターンである
「三角形の“折り返し”問題」
に慣れておくために、直角三角形ではない場合の問題も解いておくといいでしょう。



【問題】
BC=3の△ABCにおいて、BP:PC=2:1となる点Pを辺BC上にとる。
辺AB上の点をD、辺AC上の点をEとし、線分DEを折り目として、頂点Aが点Pに重なるように△ABCを折り返す。
(1)△ABCがAB=ACの二等辺三角形で、点Dが頂点Bと一致するとき、△PDEの面積を求めよ。
(2)△ABCが正三角形のとき、△PDEの面積を求めよ。



【解説】
(1)
題意より、
「AE:EC=2:3」
とわかるので、
∴△PDE=△ADE=3×√7/2×1/2×2/5=3√7/10


(2)
題意より、
「△DBP∽△PCE」
となるので、
「DP=x」
とおくと、
「PE=x/(3-x),EC=2/(3-x)」

これより、
「PE+EC=3」
であることから、
「x=7/4」

∴△PDE=△ADE=△ABC×7/12×7/15=49√3/80



(2022駿台甲府・改題)