数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

ちょっとオモシロイ「四捨五入」問題(2022青山学院・改題)

「四捨五入」を用いて解く問題は“受験算数”の定番でもあるので、得意な小学生もいることでしょう。

小学生の場合は、“以下・以上”や“未満・より大きい”などを頭の中でテキパキと処理しながら解いていくことと思います。

しかし中学生以上ならば、
「不等式を機械的に解く」
ことで対処する方が、素早くミスなく答えにたどり着けることがわかっていると思います。

但し、
「不等式の扱い方の基本」
がわかっていないと、とんでもない方向へ行ってしまうこともありますね。



【問題】
小数第一位を四捨五入して整数の値を出す体重計がある(単位㎏)。
A,B,C3人の体重計の値は、それぞれ63,53,60であった。
また、“A,B,C,Dの4人一緒”の体重計の値は229であった。
(1)“A,Bの2人一緒”の体重計の値として考えられるものを全て答えよ。
(2)D1人の体重計の値として考えられるものを全て答えよ。



※「(1)2つ、(2)3つ」と答えが出た人は、今回の問題に取り組んでみた甲斐があったと言えるでしょう。



【解説】
(1)
題意より、
「62.5≦A<63.5」
「52.5≦B<53.5」
「59.5≦C<60.5」
となるので、
「115≦A+B<117」
とわかりますね。

ここで、
「∴115,116」
と慌てて答えないように注意しましょう。

この体重計は、
「小数第一位を四捨五入して整数の値を出す」
という特性があるので、正しくは
∴115,116,117

(2)
この設問で注意しなければならないのは、
「不等式は辺々加える」
ことはできても、
「辺々引くことはできない」
ところですね。

まず(1)と同様にして、
「174.5≦A+B+C<177.5」
と、
「228.5≦A+B+C+D<229.5」(*1)
がわかりますね。

ここで、冒頭のことに注意して、
「-177.5<-A-B-C≦-174.5」(*2)
を導いておきましょう。

ここで、(*1)と(*2)を辺々加えて、
「51<D<55」(※不等号に注意!)
と求まります。

∴51,52,53,54,55