数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

“不向きな”こどもには無理強いしないこと!

まずは、次の問題を読んでみてください。
 
 
【問題】
A地点とB地点を結ぶ一本道を、
「PさんとQさんはA地点からB地点へ」、
「RさんはB地点からA地点へ」、
それぞれ一定の速さで移動する。
QさんとRさんはPさんが出発してから15分後に出発し、PさんとRさんがすれ違ってから2分40秒後に、QさんとRさんはC地点ですれ違い、PさんとQさんはB地点に同時に着いた。
QさんとRさんの速さの比を3:2とするとき、PさんがC地点を通過したのは、QさんとRさんがすれ違う何分前か?
 
 
これは、定番とも言える分野の中学入試問題をアレンジしたものなのですが、はっきり言って大人でも頭が混乱すると思います。
 
しかし、受験算数で鍛えてきた“受験戦士”たちにとっては、それほど驚くべき問題ではありません。
 
なぜなら、何度も解いたであろう内容であり、“この類の問題に対応する術”を知っているからです。
 
 
しかし、中学受験を経験していない学生や、学生時代からはそれなりに月日が経った大人にとっては、悪戦苦闘する人の方が多いでしょう。
 
「方程式を立てれば解けるでしょ」
と臨んでみたとしても、その方法で解くにはかなり厄介だからです。
 
 
一番最初にこの類の問題を考えついた人は、「画期的!」とほくそ笑んだかもしれませんが、所詮は「いかに解けないように工夫するか」が目的でしかなく、“難解ななぞなぞ”を出題して鼻高々になられたところで、白々と“拍手”を送るだけです。
 
その対処法を一度知ってしまえば何てことはなく、またたとえ知ったところで、
“今後の何らかの学びに寄与する訳でもない”
ということをしっかり理解しておくことは大切です。
 
入試という一発勝負の場での、
“人を篩にかけるためだけの手段”
に過ぎず、特に受験算数を得手としないこどもたちが、必死な思いで対処法をマスターしたところで、得るものは微々たるものでしかありません。
 
 
ただ、いわゆる
“地頭のいいこどもたち”
は、このような問題を解くことに
“脳が快感を覚える”
ので、難解であればあるほど、どんどんのめり込んでいきます。
 
だから、
“受験算数を好物”
としている場合が多いです。
 
 
しかし、受験算数にはあくまで
“向き不向きがある”
ということを、小学生のお子さんがいらっしゃる保護者の方々にはしっかり理解しておいていただきたいと思います。
 
もしも、
「“不向きな”お子さんに無理強いする」
ようなことをしてしまうと、
“受験算数は毒にもなり得る”
ということを…
 
 
 
【答え】6分前
 
いわゆる
“ダイアグラム問題”
ですね。
 
「グラフ上で平面幾何の原理(相似)を用いて解く」
という異種分野の融合問題となります。
 
それさえ知っていれば、あっさり解けてしまいますね。
 
 
※今年のある中学校の入試問題なのですが、その学校を批判している訳では全くなく、どこの中学校でも普通に出題される問題です。むしろこの学校の入試問題は、良問が多く模試がわりに解かせることを勧めています。