先日の中学入試問題から、平面図形の問題を2問取り上げてみましょう。
まずは小手調べに次の問題を、サッと解いてみましょう(手こずる人もいるかもしれませんが…)。
【問題-1】
AB=BC=5,CD=4,DA=2,∠C=∠D=90゜の四角形ABCDがある。
辺AB上にAE=1,BF=2となる点E,Fをとり、
辺CD上にCG=1,DH=2となる点G,Hをとる。
このとき、四角形EFGHの面積を求めよ。
そしてこの次の問題は、「小学生がどうやって解いたのか…」と感じる人も多いと思います。
中3生以上ならば方程式を立てて解くことができますが、それ以前にあることに気づけないと、その方程式さえ立てられないでしょう。
【問題-2】
正方形ABCDの内部に点Eがある。
辺AB上に点Fをとり、正方形BEFGとなるように点Gをとる。
辺AD上に点Iをとり、正方形CEIHとなるように点Hをとる。
正方形CEIHの面積が65で、四角形AFEIと三角形BCEの面積の合計が56のとき、正方形BEFGの面積を求めよ。
【解説-1】
例えば、
「四角形EFGHを△EFHと△FGHに分けて考える」
ことにしましょう。
まず、
「△ABH=四角形ABCD-△ADH-△BCH=7」
と求まるので、
「△EFH=△ABH×2/5=14/5」
そして、
「点Fから辺BCへ下ろした垂線の足をJ」
とすると、相似を用いて、
「BJ=6/5」
と求まるので、
「△FGH=19/10」
∴四角形EFGH=47/10
【解説-2】
簡単に言ってしまうと、
「4点C,E,I,Hに外接する正方形の面積が65+56」
となることから、
「正方形ABCDの1辺の長さが11」
とわかります。
「正方形EFGHの対角線の長さを2x」
とすると、
「x(11-x)=2×56/4」
という方程式が立てられます。
∴正方形BEFG=32
ポイントは、
「点E,Hを通り辺ABに平行な補助線を引く」
ことで、いわば鉄則ともいえる補助線ではあるのですが、慣れていないと気づくのに時間がかかってしまったかもしれませんね。
しかしそれは、中3生以上に向けた話であって、小学生はたとえ補助線を引けたとしても、そこから一体どうやって解いたのでしょうか。
先程の与えられた面積の差「65-56」に着目すると、上記のxが求められるのです。
受験算数らしく、
“図形パズルを解く”
ように対処するしかなく、頭の柔らかさが要求される訳です。
そのような過程を経て解けた際には、
“脳が快感を得られる”
ので、「受験算数」にはまってしまう小学生が毎年出てくるのでしょう。
しかし、その延長に「数学」が存在する訳ではなく、中学課程以降で数学を学んでいくためには、また新たな思考回路を鍛えていく必要があることもわかっておきましょう。