数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

整数の「3数の積」への分解

どんな整数でも、
「3つの整数の積」
で表すことは可能ですね。

例えば、
「1=1×1×1」
や、
「-20=-2×2×5」
のように、必ず何らかの表し方があるはずですね。

そこで、西暦年数に絡めて、次のような問題をやってみましょう。


毎度のことですが、「場合の数」を求める問題では、1つでも数え間違いがあれば「0点」です。

思いついたままに列挙していくのでは、ミスを犯す危険性は減らせないでしょう。

「どう取り組めばいいか」
を考えてこそ、この問題をやる意味が出てきます。


【問題】
「-2020」を3つの整数の積で表すとすると、その「3つの整数の組」は何通りあるか?
(※小学生は「2020」の場合で考えてみましょう。)


時間の制限をなくせば、答えは自分で導き出せるはずです。


【解説】
まずは、
「2020=2×2×5×101」
より、
「“2020”を3つの自然数の積で表す」
ことを考えるべきでしょう。

そして、
「1は何回かけても1」
なので、
「1を何個含むか」
で分類して考えていきましょう。


(1)1を2個含む場合
{1,1,2020} (*)
の1組だけですね。

(2)1を1個含む場合
{1,2,1010}
{1,4,505}
{1,5,404}
{1,10,202}
{1,20,101}
の5組あります。

(3)1を含まない場合
{2,2,505} (*)
{2,5,202}
{2,10,101}
{4,5,101}
の4組あります。

つまり、小学生用の答えは「10通り」ですね。


ここで、本題の、
「“-2020”を3つの整数の積で表す」
ことを考えると、
「1つまたは3つが負の数」
である必要がありますね。

すると、
「(*)は各3通り」、
「(*)以外は各4通り」
あることがわかりますね。

∴3×2+4×8=38通り


このように、
「何に着目して大分類するか」
を見極めた上で、いかに
「“辞書式”で列挙」
していくか、が大切ですね。

「半円」の折り返し(2020群馬県立・改題)

「折り返し問題」でよくある出題パターンなので、解いたことがあるかもしれません。

頻出しているのは、
「折り返した円弧が半円の中心を通る」
パターンですが、今回は少し違ったもので練習してみましょう。


【問題】

f:id:booterpig:20200926225143j:plain

長さ12の線分ABを直径とする半円がある。
この半円弧上に、弧AP:弧PB=1:3となるような点Pをとる。
弧PBと弦PBで囲まれた図形を、弦PBを折り目として折り返したとき、元の半円と重なる部分(斜線部)の面積を求めよ。


(答え;18-9√2+9π/2)


【解説】
まず、
「半円の中心をO」、
「半円弧の四等分点のうち真ん中の点をQ」
とします。

f:id:booterpig:20200929214852j:plain

すると、
「∠PBA=∠PBQ=22.5゜」
となることなどから、求める部分の図形は、
「弧PQと弦PBと弦QBで囲まれた図形」
と合同になりますね。

よって、その面積は、
「おうぎ形OPQ+△OBQ-△OBP
で求まるので、
∴18-9√2+9π/2

特殊な立体の捉え方を鍛えよう!

柱体でも錐体でもなく、ちょっと変わった多面体ではありますが、どこかで見かけたことがあるかもしれません。

その体積を求めさせるにあたって、実際の入試などではヒントが与えられることも多いかもしれませんが、今回はノーヒントでいきましょう。

今のうちだからこそ、じっくり考えてみることが大切です。
あれこれ試行錯誤しておくことが、入試本番に活かされるはずです。

※小学生は、体積を求めるのは無理にしても、この立体をどのように捉えればいいか、を考えてみましょう。
そして、「何がわかれば体積が簡単に求められるか」を見極めましょう。


【問題】

f:id:booterpig:20200925153213j:plain

図のような、1辺2の正三角形・正方形・正六角形の面のみで構成された八面体の体積を求めよ。


(答え;20√2/3)


【小学生用解説】

f:id:booterpig:20200930103331j:plain

八面体を三角錐と四角錐に分割してみましょう。

すると、“対称性”から、
三角錐
「A-ODE=B-OFG=C-OHI=O-ABC」、
(四角錐)
「O-ABFE=O-BCHG=O-CADI」

ここで、
「O-ABFE=O-AEF+O-ABF=A-ODE×2」
より、
「八面体=A-ODE×10」
となることに気づけるかがポイントです。


このように立体を捉えられていると、例えば、
「八面体を平面ABGDで切断して点Cを含む方の立体」
の体積を求める場合も、
「A-ODE×6」
で一発ですね。



※なお、八面体の体積を求めやすくさせるために、
「A-ODEは正四面体」
などのヒントが与えられる場合もある訳です。



https://mcafejr2.hatenablog.com/entry/2020/09/30/103356

面積の三等分

「平面図形の面積を二等分」
する問題は定番中の定番ですが、今回は、
「面積の三等分」
を考えてみましょう。

例えば、
「半径による円の面積の三等分」
は下図のようになりますね。

f:id:booterpig:20200922220010j:plain

受験生は、
「三等分する半径の作図」
の原理も確認しておきましょう。


何等分であろうと、基本的な考え方は変わらないので、次の問題もサクッと解ければOKです。


【問題】

f:id:booterpig:20200922220308j:plain

長方形ABCDがあり、その対角線の交点をPとする。
その長方形の周上に、点Aから反時計回りに2点E,Fをとる。
線分PA,PE,PFによって長方形の面積が三等分されるとき、2点E,Fの位置を答えよ。


答えは、皆さん導けると思います。

要は、「いかに簡単に求めるか」ですね。

「点Eは辺BCを1:2に内分する点」、
「点Fは辺CDを2:1に内分する点」
となりますね。


なお、受験生は、
「2点E,Fの作図」
も簡単に行えるようにしておきましょうね。


https://mcafejr2.hatenablog.com/entry/2020/09/23/133940

約分すると自然数となる分数(2020大阪教育大学附属・池田)

例えば、
「2020/20」
という分数は、約分すると
「101」
という自然数になりますが、分母が3に入れ替わった
「2020/3」
は約分できないので自然数とはなりませんね。

そこで、
「分母が入れ替わっても約分すると自然数となる分数」
に関する問題です。


【問題】
1以上20以下のどの整数nについても、分数a/nを約分すると正の整数となる最小のaを求める。
このとき、aは1以上20以下の素数全ての積の何倍となるか?


(答え;24倍)


【解説】
まず、1~20の整数で
「1と素数以外」
について素因数分解してみましょう。

4=2×2
6=2×3
8=2×2×2
9=3×3
10=2×5
12=2×2×3
14=2×7
15=3×5
16=2×2×2×2
18=2×3×3
20=2×2×5


最小のaは、
「1~20の20個の整数の最小公倍数」
なので、
「1~20の全ての素数の積」
つまり、
「2×3×5×7×11×13×17×19をA」
とすると、上記の結果から、
「A×(2の3乗)×3」
となるので、
∴24倍

「位の数」を入れ替えた2桁の自然数

例えば、
「12と21」
は、
「位の数を入れ替えた2桁の自然数
ですね。

これらの数の和は33で、
「11の倍数」
となりますが、これは、
「どんな2桁の自然数の場合にも成り立つ」
ことですが、その理由は簡単に導けると思います。

今回は、そんな2桁の自然数を用いた、
「√□が整数になる」
という定番問題をやっておきましょう。


【問題】
「十の位がx、一の位がy」の2桁の自然数Aと、
「十の位がy、一の位がx」の2桁の自然数Bがある。
x>yとするとき、√(A×A-B×B)が整数となる(x,y)の組を全て求めよ。

(小学生用)
x>yとするとき、A×A-B×Bが平方数となる(x,y)の組を全て求めよ。


(答え;(6,5))


【解説】
まず、
A=10x+y,B=10y+x
より、
A×A-B×B
=(A+B)(A-B)
=3×3×11×(x+y)(x-y)
となりますね。

「√(A×A-B×B)が整数となる」
ということは、
「A×A-B×Bが平方数となる」
ということですから、
「(x+y)(x-y)が11×平方数」
となればいいですね。

ここで、
「x+y>x-y>0」
であることに注意しながら、
「(x+y)(x-y)が11,11×4,11×9,...」
の場合を検討していくと、
「(x+y)(x-y)=11」
の場合のみ適となります。

∴(x,y)=(6,5)

線分比~面積比~体積比

幾何の問題に取り組む際に、
「線分比・面積比・体積比の相互変換」
が自由自在に行えるよう、練習を積んでおくことを以前から伝えてきました。

その成果を、ちょっと試してみましょう。


【問題-1】

f:id:booterpig:20200915151757j:plain

AB=3,AC=4で辺BCが最長辺となる直角三角形ABCがある。
頂点Aから辺BCへ下ろした垂線の足をD、
点Dから辺AB,ACへ下ろした垂線の足をそれぞれE,Fとする。
このとき、△BDEと△CDFの面積比を求めよ。


この設問には、
「81:256」
と“瞬殺”できますね。


では、次の問題はどうでしょうか。


【問題-2】
上記の△BDEと△CDFを、それぞれ直線ADを軸として1回転させてできる立体の体積比は?


この設問に、
「729:4096」
と答えてしまうようではいけませんね。

焦っているとき、もしくは調子に乗って油断しているときに、特に注意しましょう。