「整数」や「確率」の問題は、時間が許すならば、“ゴリゴリしらみつぶし作戦”でも対処は可能です。
しかし、まずは、前回の問題のように「論理的に攻める」方策を探るのが第一手です。
で、めでたく論理的に攻める目処が立ったものの、「何か面倒だなぁ・・」と思うこともあるでしょう。
そんなときに、「読み換え力」を働かせてやると、大いに役立つことがあります。
【問題】
1個のサイコロを3回振って出た目を順にa,b,cとする。
「a<b<c」となる確率は?
どうやって求めればいいかは、小学生でもわかると思いますので、まずは答えを出してみましょう。
次に、該当する例をいくつも睨みまくって、
「いかに読み換え力を働かせて簡単に解くか」
を考えてみてください。
どうしても思いつかない場合は、
「2回振ってa<bとなる確率は?」
のように一段階簡単にして考えてみましょう。
【解説】
まず、全ての場合は、
「6×6×6=36通り」
あります。
次に、題意に該当する場合は、
「(1,2,3),(1,2,4),(1,2,5),(1,2,6),...」
と列挙していくと
「20通り」
ありましたね。
今回のように「サイコロ1個を3回振る」程度ならば、
上記のように求めていっても、まぁ構わないでしょう。
しかし、選択肢が増えてくると、そうも言っていられませんね。
そこで、「読み換え力」を働かせましょう!
まず、与条件の「a<b<c」から、
「3回の出た目は全て異なる」
とわかります。
ここで、
「1,2,3,4,5,6から異なる3つの整数を選ぶ」
ことを考えましょう。
その選び方は、
「(6×5×4)/(3×2×1)=20通り」
ありますね。
(※「組み合わせ」の求め方がわからない人は、樹形図を書いて、どれとどれが重複するかを考えてみましょう。)
この「20組」は各々の組で、
「全ての数が異なるので必ず(小,中,大)の3数により構成」
されていますね。
つまり、
「小=a,中=b,大=c」
となる訳ですから、
「組が決定すればa<b<cとなる3数も自動的に決定」
することがわかりますね。
よって、
「サイコロの目がa<b<cとなる場合の数」
は、
「異なる6つから異なる3つを選び出す組数」
と等しい、
と読み換えられる訳です。
∴(6×5×4)/(3×2×1)/(6×6×6)=5/54
下記の問題は、「この程度ではもの足りない」という人向けです。
【発展問題】
1個のサイコロを3回振って出た目を順にa,b,cとする。
「a≦b≦c」となる確率は?
(答え 7/27)
【解説/発展】
いわゆる「重複組み合わせ」の考え方が理解できていれば簡単に解けます。
「サイコロの目がa≦b≦cとなる場合の数」
は、
「異なる6個から重複を許して3個を選びだす場合の数」
と等しい、
と読み換えられます。
(※重複を許すとは、例えば(1,2,2)などで、これは「a=1,b=2,c=2」に該当します。)
つまり、
「6+3-1=8個の中から3個の組を選ぶ場合の数」
を求めて、確率を求めます。
∴(8×7×6)/(3×2×1)/(6×6×6)=7/27
小学生や、「重複組み合わせ」を知らない中学生は、何を言っているのかわからなくて当然ですので、無視して大丈夫です。
なお、「重複組み合わせ」自体を、他の考え方に読み換えることもできます。