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「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

短時間で解くにはミスしやすい確率問題(2021神奈川県立/追試)

神奈川県立入試では定番の、
“ルール設定に基づく確率問題”
です。

「解けた!」と思って見直さないでおくと痛い目にあう可能性が高く、短時間で「正しい確率」を導き出すのに苦労するのではないでしょうか。

問題文を読みながら、ちょっとでも「ん?」と感じた場合は、最後に慎重にチェックし直してみる習慣をつけておいた方がいいでしょう。


【問題】
1~7の数字が書かれた7枚のカードが、左から小さい順に横一列に並べられている。
大小の2個のサイコロを同時に1回ふり、「大の目の数をa、小の目の数をb」とする。
そして、次の順番で、並べられたカードに操作を行う。
(操作1)左からa番目のカードと右端のカードを入れ替える
(操作2)右からb番目のカードと左端のカードを入れ替える
この2つの操作の後に、左端のカードの数字が右端のカードの数字より小さくなる場合の確率を求めよ。


※考えられる誤答は「5/18」あたりでしょうか…



【解説】
基本的には、順番に絞り込んでいくだけですね。


(操作1)により、右端にくる数が大きい順に考えてみましょう。


(ⅰ)「a=6」のとき
右端は6となるので、「b=3,4,5,6」であれば題意を満たす。

(ⅱ)「a=5」のとき
右端は5となるので、「b=4,5,6」であれば題意を満たす。

(ⅲ)「a=4」のとき
右端は4となるので、「b=5,6」であれば題意を満たす。

(ⅳ)「a=3」のとき
右端は3となるので、「b=6」であれば題意を満たす。


ここまでの検討は、それほど時間はかからないでしょう。

そして、「a=2,1」のときは、
「左端にこれより小さな数がくることはない」
として、上記の10通りより、
「答えは5/18」
としてしまう誤答が考えられます。



しかし、落ち着いてよく考え直してみましょう。


(v)「a=2」のとき

(操作1)の後には
「右端は2」
となり、
「これより小さな“1”は左端にある」
ものの、(操作2)の後には
「必ず他の数と入れ替わってしまう」
ので、題意を満たすことはあり得ませんね。


(ⅵ)「a=1」のとき

(操作1)の後には
「右端は1」
となるので、この段階で
「題意を満たすことはあり得ない」
と考えてしまいがちです。

しかし、
「b=1」
であれば、(操作2)の後には
「左端が1で右端が7」
となり、題意を満たしますね。


よって、(v),(ⅵ)の検討を加えれば、
「題意を満たすのは11通り」
となるので、
∴11/36