数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

“2次方程式と整数”問題(2021慶應義塾女子)

この学校の十八番である「整数問題」と2次方程式とを絡めた入試問題です。

2次方程式の解と係数の関係」に主眼を置いた問題は頻出していますが、今回の問題は“そのようでありながらそうではない”ちょっとオモシロイ問題となっています。

原題は、小設問によって誘導されながら解いていく形をとっており、わかるところまでは得点できるように配慮されています。

しかしその誘導によって、大切な“理詰めのエッセンス”がスルッと流されているので、それを学んでもらうために、例によって「誘導なし」で解いてみましょう。


【問題】
「1,3,4,s,t,u」の6枚のカードが入った箱から1枚取り出し(→カードの数字をa)、戻してからまた1枚取り出す(→カードの数字をb)。
ここで、「s,t,uは5≦s<t<uを満たす整数」とする。
2次方程式x×x+ax+b=0の解の1つが-3となる確率が1/12」であるとき、(a,b)を求めよ。


「s,t,uとa,b」という2種類の設定が頭を混乱させるかもしれませんが、何とか乗り越えられるようにしましょう。



【解説】
まずは素直に、
「解の1つが-3」
であることから、
「9-3a+b=0」
となるので、
「b=3a-9」(*1)
と変形しておきましょう。

そして、題意から
「a,bは自然数
であるので、
「少なくともa≧4」(*2)
であることを確認しておきましょう。

次に、
「確率が1/12」
という条件から、
「(a,b)は3通りのみ」(*3)
であることも確認しておきましょう。


これで、与条件をもとにした下準備は完了です。

よってここから先は、お決まりの“整数の絞り込み”をしていけばいいですね。


∴(a,b)=(4,3),(s,t),(t,u)


これを導き出す過程に“理詰めのエッセンス”が詰まっていますね。
https://mcafejr2.hatenablog.com/entry/2021/07/21/000008