数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

合同条件“表現”の違和感

高校入試においても、「数学」記述問題は昨今重視されてきています。
しかし、公立校であっても志望校の先生が採点を行うので、「大学入学共通テスト」のような問題は発生しません。

中でも、「合同・相似の証明問題」は記述問の代表格です。
その「三角形の合同の証明」を記述する際に、「どの合同条件を用いたか」を明記することが求められます。
このときの記述について、ずっと違和感が消えずにいます…。


現在、教科書(指導要領)では、
「三角形の合同が成り立つ条件」として、

・対応する3組の辺がそれぞれ等しい
・対応する2組の辺がそれぞれ等しく、その間の角が等しい
・対応する1組の辺が等しく、その両端の角がそれぞれ等しい

の3つが記載されていると思います。

生徒に“説明”する際には、このままでも何の問題もありません。
しかし、いかんせん
「文章が長ったらしく、表現が複雑化している」
ので、それをテストなどで記述させると、生徒は簡略化して表現してきます。
これは、もっともなことです。

その際に、正解にしていいものか否かを迷う答案がどうしても出てきます。


例えば、
「2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい」
と簡略化して 記述してくる場合です。

一見正しいように見えますが、文章構成上の違和感をぬぐえません…。

この違和感をぬぐおうとすると、
「2組の辺とその間の“1組の”角がそれぞれ等しい」
となってこざるを得ません。

“組”という表現を指導要領で用いてしまったがために、簡略化表現がしにくくなり、国語的に正しく表そうとすると、上記のように表すしかなくなるのです。

言うなれば、指導要領のせいで、中学生に誤表現を広めてしまっている訳です…。


では、どう表現するのが正しく簡潔なのか?

「“2辺”とその間の角がそれぞれ等しい」★

と表現するのがベストでしょう。
そうです、昔教えていた表現方法です。

この文章構成は、1つの三角形についての「2辺とその間の角」の3要素に着目し、それらが2つの三角形において「“それぞれ”等しい」ことを表しています。
この表現ならば、何の問題もありません。

もっとも、生徒が指導要領と一言一句同じ表現を用いてくれれば何の問題もないのですが、そのような“無駄な暗記”に生徒の労力を使わせることは本末転倒です。


よって、結論としては、
「(★のような)昔の合同条件名を用いるべき!」
ということです。
(「3辺相等」などの簡略表現方法を用いるのがベストではあります。)


もしくは、
「内容的に問題がなければ合同条件名の記載は省いてよし」
とすべきでしょう。

記述を追っていけば、合同条件を満たしているか否かは明白なので、問題はないはずです。



※賛否を問わず、皆さんのご意見をいただければ幸いです。