1次の不定方程式ならば、式変形せずとも、力業で押し切って自然数解を求められるものもあります。
例えば、
「不定方程式(3元1次)」
https://mcafejr.hatenablog.com/entry/2019/09/12/
のような問題です。
では、次のような条件が付加されたら、どのように解きますか。
【問題】
x+3y+6z=30
x≧y≧z
を満たす自然数x,y,zの組は何通りあるか?
不定方程式を満たす自然数解を全て求めてから、不等式を満たすものを吟味するのでは、この問題をやる意味がありませんので、工夫してみましょう。
【解説】
自然数x,y,zの大小関係が決まっているので、まず値の範囲を絞り込んでおきましょう。
最小のもの(z)に着目すると、
z+3z+6z≦x+3y+6z=30
10z≦30
z≦3
(最大のものに着目して、
30=x+3y+6z≦x+3x+6x
30≦10x
3≦x
でも構いません。)
(ⅰ)z=3のとき
x+3y=12
となり、
4y≦x+3y≦4x
も成り立ちます。
よって、
y≦3,x≧3
より、
x=y=3
の場合のみ適となります。
(ⅱ)z=2のとき
同様にして、
x+3y=18
y≦9/2,x≧9/2
となり、
y=2,3,4
の場合のみ適となります。
(※y=1の場合は不適であることに注意)
(ⅲ)z=1のとき
同様にして、
x+3y=24
y≦6,x≧6
となり、
y=1,2,3,4,5,6
の場合のみ適となります。
∴10通り
このような平易な問題の場合は、不等式を用いる意義をあまり感じられないかもしれません。
しかし、例えば、
「1/x+1/y+1/z=1/2,x≦y≦z
を満たす自然数x,y,zを求めよ。」
というような問題の場合は重宝します。