数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

座標平面上の回転移動(千葉県立)

来年の都立入試の方針通りに、「三平方」を使わない前提とすると、例えば「三角形の面積」や「錐体の体積」でさえも出題できないケースが出てきてしまいます…。

今回の問題のように、
「座標平面上の2点間の距離」
も求められなくなり、
「空間における2点間の距離」
など、言わずもがなです。

前回の問題の解き方を参照しながら、どういう事態になるか考えてみましょう。


【問題】
直線l ; y=x/3+5
直線m ; y=2x
直線n ; y=-4x/3
とし、直線lと直線mは点Aで、直線lと直線nは点Bでそれぞれ交わっており、原点をOとする。
△OABを、原点Oを回転の中心として反時計回りに、辺OBが初めてy軸に重なるまで回転移動させた。
点Aが移った点をPとするとき、点Pの座標を求めよ。


(答え;(-6,-3))


【解説】
まず、
「点Aから直線nへ下ろした垂線の足をC」
とします。

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すると、
「辺OBがy軸に重なる」
ということから、
「点Pのx座標の絶対値は線分CAの長さ」
「点Pのy座標の絶対値は線分COの長さ」
に相当しますね。

線分CAや線分COは、どのような長方形の対角線に相当するかは、座標からわかりますね。

ここで「三平方」を使わずに、前回のような方法で求めることも可能ですが、あまりに面倒です…。

よって、このような「座標平面上の幾何問題」も、都立入試では出題されないことになるのでしょう。


とはいえ、三平方が使えさえすれば、何てことはない問題です。

まず、
「A(3,6)」
と求めます。

すると、
「点Aを通る直線nに垂直な直線」
は、
「y-6=3(x-3)/4」
ですから、
「C(-9/5,12/5)」
とわかります。

すると、線分CA,COはともに、
「3:4:5の3辺比」
より簡単に、
「CA=6,CO=3」
と求まるので、座標の符合に注意して、
∴P(-6,-3)


「代表的な直角三角形の3辺比」
は、幾何においては基本中の基本ですから、それが使えないとなると、その影響は甚大でしょう…。

今後も、都立以外も含めた「出題範囲情報」には注視していく必要がありますね。