数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

「三平方の定理」を使わずに解いてみよう!(大阪星光学院)

現中3生は、「三平方の定理」は未習のはずですから、題記の注釈は不要となりますね。

もしその定理を知っている場合は、敢えて使わずに解いてみましょう。

以前にもお伝えした通り、来年の都立高校入試では「三平方の定理」が出題対象外となることを踏まえると、「こう解くしかない」ということを認識してもらうための“幾何クイズ”のようなものです。
(※「三平方」を使えば簡単に解けてしまいます。)


【問題】
下図のように、半径1、中心角45°の扇形に正方形が内接している。
この正方形の1辺の長さを求めよ。

f:id:booterpig:20200617102503j:plain


(答え;√5/5)


【解説】
「扇形の中心をO、正方形と円弧との接点をP」
とすると、半径なので、
「OP=1」
ですね。

また、
「正方形の1辺の長さをa」
とすると、題意より、
「OPはa×2aの長方形の対角線」
となりますね。
(※ここから「三平方」を使えば一発でaは求まりますね。)

ここで、
「間隔aのグリッド上」
にOPの長さの線分を下図のように4箇所とります。

f:id:booterpig:20200618141923j:plain

これは、「三平方の定理」の証明法の1つでもあるのですが、“幾何クイズ”にもよく用いられる手法です。

すると、
「1辺がOP(=1)の正方形」
が形成され、その面積は、
「1辺aの正方形5個分」
となりますね。

よって、
a×a×5=1×1
という方程式が成り立つので、a>0より、
∴a=√5/5


いずれにしても、「三平方の定理」が使えないとなると、“2点間の距離”を求める手段が1つに絞られたも同然となるので、問題を作る側からしても悩ましい問題となるでしょう…。



※「三平方」を使わずに解く問題(共通テスト編)
https://mcafejr.hatenablog.com/entry/2021/01/29/120005