数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

積が偶数となる確率(2020東大寺学園)

パッと見て、
「あの定番問題ね」
と、小学生でも取り組むのに何の抵抗も感じない問題だと思います。

その感覚でサッと解いてしまいましょう。


【問題】
1から5までの数字が書かれたカードがそれぞれ2枚ずつ合計10枚ある。
これらのカードを袋に入れて、その中から同時に2枚を取り出すとき、取り出したカードに書かれた数字の積が偶数となる確率を求めよ。


(答え;2/3)



【解説】
「ねぇお兄ちゃん、なんで答えが合わないんだろう?」
「どれどれ・・」

算数が得意な兄は妹の答案をサッと見てから、
「考え方がごちゃ混ぜになってるなぁ・・」
と説明を始めました。

「まず、取り出し方は全部で何通りある?」
「10×9×1/2=45通りでしょ。ちゃんと“同時に2枚”で考えたよ!」
「うん、そうだね。で、次にどう考えた?」
「2数の積が“偶数”になるのを数えるのは大変そうだから、“奇数”になる場合を考えたよ!」
「エラいエラい!で、何通りになったの?」
「6通りでしょ」
「う~ん、そこがおかしいなぁ」
「だって、奇数は1,3,5しかないから、
(1と1),(1と3),(1と5),(3と3),(3と5),(5と5)
の6組しかないでしょ?」
「確かに“組の種類”だと6種類しかないけど、場合の数としては6通りではないよ。」

兄が言っているのは、
「各数字のカードが2枚ずつある」
ので、
「(1と1),(3と3),(5と5)は各1通り」、
「(1と3),(1と5),(3と5)は各4通り」
で、
「合計15通り」
あるということですね。

「だから、求める確率は1-15/45=2/3だね。」
「あ、そうか・・」
と妹はまだ何か“キツネにつままれた”ような顔をしています。

「全ての場合の数は正しく求められているのに、途中から“組の種類”で考え出すから変になっちゃってたんだよ。」
「じゃあ、全ての場合の数も“組の種類”で考えていたら正解になってた?」
「それだと、さらに泥沼にはまっちゃうよ・・大切な“同様に確からしい”条件を満たしていないでしょ。」
「あ、そうか・・1通りと4通りの組が混在してた!」