数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

三角形の外接円の面積(2020奈良県立)

受験生であれば、この時期には、
「各種三角形の内・外接円の半径」
の求め方はマスターしていることと思います。

これからの時期は、
「その方法を愚直に用いるべきか否か」
を、しっかり吟味してから取り組むようにしましょう。

言うまでもなく、入試においては、
「解くためにかける時間」
も、合格へ向けての大切な要素となるからですね。


【問題】(2020奈良県立・改題)
円Oに内接する△ABCがある。
頂点A,Bから対辺に下ろした垂線の足をそれぞれD,Eとし、2つの垂線の交点をFとする。
さらに、直線ADと円Oとの交点のうちAでない方をGとする。
BC=10,AF=2,DF=3のとき、円Oの面積を求めよ。


(答え;26π)


【解説】
この問題において、まず
「外接円の半径」
を求めようとすると、色々な下準備が多く、しかも計算が面倒になってしまいますね。

そのように判断した段階で、一旦他の方法を探ってみるように習慣づけておきましょう。

つまり、外接円の面積を求めるには、
「半径そのものではなく“半径の2乗”」
の数値さえわかればいいので、その方策を探ってみるべきでしょう。


まずは、
「合同・相似な三角形」
をしっかり把握しておくことが必要ですね。

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すると、相似な三角形から、
「△BDF≡△BDG」
が導けるので、
「DG=DF=3」
が求まります。

点Oから線分AG,BCへ垂線をおろすと、
「垂線の足(P,Q)は各線分の中点」
となるので、
「AP=PG=4,BQ=QC=5」
と求まります。

ここで、例えば、
「△OBQに着目」
すれば、
「OQ=PD=4-3=1」
となるので、三平方より、
「OBの2乗=25+1」
とわかります。

よって、
「外接円の半径の2乗=26」
となるので、
∴円Oの面積=26π


この方法ならば、
「BD,DCやAB,AC」
を求める面倒な計算が不要になる訳ですね。