数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

ちょっとオモシロイ三角錐問題(2021灘中・改題)

「2021灘中入試」からの出題ですが、前回の「2021神奈川県立入試」の“3次元バージョン”のような問題です。

小学生の場合は、「最大・最小」となる条件を“論理を積み重ねて”導く必要があり、頭の回転の良さが求められる問題でしょう。

もっとも、パターンが限られているので、入試の際は“なんとなく直感で”正答を導いてしまう場合もあったでしょうが…。

しかし、高校受験をする中学生ならば、中学課程の内容を用いて論理的に「最大・最小」となる条件を導けるはずです。

単に答えを出すのではなく、「なぜそうなるのか」を記述できるように解くことが大切です。


【問題】
いくらかの水が密封された三角錐の形をした容器の、4つの面の面積は16,18,20,24である。
この容器を、4つの面のいずれかが水平な地面につくように置く。
容器の内側の面のうち、「水に濡れる部分の面積(y)」が最も大きくなるように置いたとき、y=60であった。
yの値が最も小さくなるように置いたときのyの値を求めよ。
(但し、容器の厚さは考えないものとする。)


(答え;172/3)



【解説】
「底面が水平になるように置く」
ということは何を意味するのか、がポイントですね。

例えば、
三角錐ABCDの△BCDが底面」
となるように置いたとしましょう。

そして、
三角錐の辺AB,AC,ADと水面との交点をP,Q,R」
とすると、
「AP:AB=AQ:AC=AR:AD(=k:1)」
となることがわかるはずです。

さらに、
「どの面が底面となっても“k:1”」
という比は変わらないので、
「底面以外の面に対する“水に濡れる部分の割合”も一定」
であることもわかりますね。

ということは、
「水に濡れる部分の面積(y)」
に対して、
「底面以外の面に対する“水に濡れる部分の割合”をx」
とすると、
「yはxの1次関数」
で、必ず
「x=1のときy=78」
となりますね。

あとはグラフをイメージすれば、どのような場合に「yが最大・最小」となるかは一目瞭然ですね。


よって、
「24+54x=60」
より
「x=2/3」(※k=√3/3)
がわかるので、
∴16+62×2/3=172/3



★明日、都立受験を控えている皆さんは、幾何問題においては今回のような「三角形の面積比・三角錐の体積比」関連は万全にしておきましょう。

さらに、“裏返し”の相似(“方べき”丸暗記のみの人は要注意)、台形における面積比、線分比~面積比~体積比の変換などについても再確認しておいた方がいいでしょう。

「三平方」除外となると、「整数」や「確率」関連の込み入ったルール設定の問題も十分予想されます。

落ち着いて問題をしっかり読み込めば、(1),(2)くらいは十分解けるはずです。

皆さんの健闘を祈ります!



※2021/2/22更新

出題内容・スタイルを変えてくるかと思いきや、全く例年通りでしたね。
おかげで、「都立日比谷高校」でさえ“超”簡単な内容でした…。
高得点での、「ミスしたら負け」の勝負となりそうですね。