数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

四角錐の体積・展開図・塗り分け(2021都立青山・改題)

三平方の定理」を試験範囲から除外した今年の入試問題なので、小学生にも解ける内容になっています。

「展開図の正誤問題」は、得手不得手がハッキリと分かれる分野だと思いますが、基本的には慣れてもらうしかありません。

立方体などの簡単な立体の“展開図の捉え方のコツ”みたいなものはあるにはありますが、それを暗記して対応しているようでは、その先の応用ができなくなってしまいます。

例えば今回のような
“不整形な面で構成された多面体”
の場合は、文字通り
“頭の中で立体を切り開く”
しかありません。

しかも、
“立体を構成する面の内側・外側のどちらから見た展開図か”
で、余計に頭の中が混乱してしまう要素も含んでいますね。



【問題】

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直方体ABCD-EFGHにおいて、AB=4,AD=8,AE=6である。
辺DH,AD上の点をそれぞれP,Qとし、DP=3,GB〃PQである。
(1)→四角錐C-BGPQの展開図の正誤問題(5択)
(2)四角錐C-BGPQの体積を求めよ。
(3)四角錐C-BGPQの全ての面を4色で塗り分ける方法は何通りあるか?


(1)は省略しますが、「5つの展開図」の中から、いくつあるかわからない「正しいもの」を選択しなければならない設問でした。

(2),(3)をまず解いてから、最後に回してじっくり考えるのが賢明でしょう。



【解説】
(2)
この設問では、「体積の求め方についての4人の会話」が記載されていました。
どうやら求め方のヒントを与えたかったようなのですが、その会話内容についての設問は全くなかったので、ハッキリ言って不要だったでしょう。

「2つの三角錐」に分けることは誰でもまず考えるでしょうし、そうすれば小学生でも簡単に求められますね。

∴(Q-BCD)+(Q-CGP)=48


(3)
「5面を4色で塗り分ける」
ので、
「必ず同色の面が2面ある」
ことがわかりますね。

しかも、例えば正四角錐のように、“重複カウント”を考慮する必要がないことも明らかですね。

∴5C2×4×3!=240通り


(1)
都立受験生のために、取り組み方のポイントのみ記しておきます。


「P,Qの位置が正しいもの」
を選択すればよいので、
「“カギとなる図形”とP,Qの位置関係のみに着目」
して判断すればいいですね。

もし、例えば、
「上記を満たしているのに展開図の他のどこかに間違いがある」
ようなものが選択肢に含まれていたとしたら、イヤらしいことこの上ありませんね。

ただ、そのような選択肢も一応あり得るので、時間に余裕があれば最後にチェックしておくといいでしょう。

また、混乱を誘う要素として、
「立体の内側・外側のどちらから見た展開図なのか」
もカギとなりますね。

これに関しては
「カギとなる“2つの直角三角形”」
に着目すれば、
「全て立体の外側から見た展開図」
であることがわかったはずです。


「1つの展開図を指定された方法で正しく描く」
のではなく、
「5パターンの展開図の正誤判断」
を行わなければならない場合は、上記のようにチェックポイントがいくつかあるので、落ち着いて考える必要があります。

基本的な対策としては、
「立体を頭の中で切り開く」
ことに慣れてもらうしかありません。



※多少は論理的に導いていく方法はあります。
https://mcafejr2.hatenablog.com/entry/2021/06/19/111624