数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

過去問集の“模範解答”を鵜呑みにしてはいけない!

受験生の皆さんは、志望校の過去問集を用いて勉強する機会が増えてきていることと思います。

最後の仕上げに向けて大切な教材でもあるので、もしもその内容に信用が置けないとなれば、一大事ですね。


過去問集を出版する際には、出版社サイドがその内容を十分にチェックしているはずですが、専門的な内容になれば執筆者を信用するしかない側面もあるのでしょう。

問題作成者が模範解答を公開しているのであれば、そもそも問題を考える際に何度も吟味しているはずですから、模範解答もほぼ信じていいとは思いますが、時々入試において「出題内容のミス」が発生していることは、皆さんもご存知でしょう。

ましてや、様々な学校の入試問題の模範解答作成を、問題作成者でもない人物が一人で担当するとなると、ミスが発生しやすくなってしまうことも否めないでしょう。
(本人の意識次第とは思いますが…)

現実問題としては様々な事情もあるでしょうが、入試問題を作成したり、模範解答を作成し出版するのであれば、「間違いはないはず」と信じている受験生のために絶対にミスがあってはなりません。

そのためには、
「“まっさらな状態”での少なくとも“2人以上のチェック”」
が必須だと思います。
ある人が作成した問題や答案を、別の人が読み込むだけのチェックでは万全を期した対応とは言えないでしょう。

※私がブログに投稿する際には、一人で管理していることもあり、
「何かの間違った思い込みをしていないか」
を、何度もチェックすることを常としています。


なぜこのようなことを述べるかというと、毎年のように過去問集のどこかに“変な模範解答”が載っているからです。

しかも、イニシャル記名式の場合だと、毎年のように“変な模範解答”を載せてくる執筆者がいることもわかるのです…。
(なぜ交代させないのか不思議でなりません…)

よって受験生の皆さんは、過去問集の模範解答に、
「こんな解き方しなくちゃいけないの?」
という疑問を感じたならば、自らの力不足を嘆く前に、まずは信頼のおける身近な先生に相談してみましょう!


しかし、“変な模範解答”ならぬ“間違った解答”ならば捨て置けませんね。

今回は、そんな実例を紹介しましょう。


【問題】

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正三角形ABC(1辺6)の辺BC,CAの中点をL,Mとする。
線分LM上にLP=2となるように点Pをとる。
そして、△BPD,△CPEが正三角形となるように、点E,Fを直線BCに関して点Aと同じ側にとり、線分CMと線分PEの交点をFとする。
このとき、△CPF:△CMEの比を求めよ。


この答えを、ある過去問集で「3:8」と解説していました。
(※ウッカリさんは同じ答えを出しているかもしれませんが…)

その間違いの原因は想像に難くはありませんが、公に向けて出版するからには、あってはならないことですね。

この過去問集は大手出版社のものであり、執筆者も“変な模範解答”を毎度してくる人物ではないようです。どこかに気の緩みがあったのでしょう。

何年かに一度あるかないかのこととはいえ、自らの学力に自信を持てずにいたり、すぐに相談できる先生が身近にいないような受験生のために、このようなミスは完全に無くしてもらいたいですね。


※正解を確認したい場合は、答案をコメント(非公開)してもらい、正解であればリプ(公開)します。


おそらく…、
「点B,P,F,Eが同一直線上にある」
と“図から勝手に思い込んでしまう”ことで、
「3:8」
という誤答にたどり着いたのでしょう。
(※途中で誤りに気づくポイントはあるのですが…)

幾何問題で絶対にやってはいけない“初歩的ミス”ですね。


※そこそこ名が知られた学校の今年の入試問題です。
その学校が志望校で、この過去問集を使っている人は注意しましょう。



https://mcafejr2.hatenablog.com/entry/2022/01/10/000008