数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

塾選びの糸口としての“お気に入り講師”

前回は「運営サイドの責任者である大手進学塾の教室(校舎)長には要注意!」ということをお伝えしましたが、今回は生徒に接する最前線にいる「塾講師」に焦点をあててみたいと思います。


塾講師には、常勤・非常勤の「プロ講師」と、「学生アルバイト講師」がいます。

集団授業か個別指導かによって、その構成は傾向が異なりますが、個別指導では学生・主婦が講師をしている場合が多いです。

どういう講師によって授業が行われているかは、塾にとっては肝の部分なので、「プロのみなのかアルバイトもいるのか」は基本的に公表されているはずです。

「プロ講師」は、専門とする教科があり、それをいかに教えこどもの成長へとつなげていくか、を日々突き詰めて考えているはずです。
それぞれのこどもの特性を見極めて、時にはカリキュラムとは違う流れで様々なアプローチができる場合が多いでしょう。
ただ、中には経験的にもスキル的にも疑問符がつかざるを得ないような講師もいるので、しっかり保護者が見極めることも大切です。

「学生アルバイト講師」は、カリキュラム通りにマニュアル的に教えることは得意ですが、ちょっとイレギュラーなことがあると未熟さを露呈してしまうこともあるようです。
ただ、こどもとは年齢的に近いこともあり、同じような育ち方をしたこどもとは波長が合うので、お兄さんお姉さん的なフレンドリーな関係になりやすいでしょう。
なお、学生本人の学力と教える立場としての技量とは必ずしも比例しませんので、「○○大学○○学部」の看板だけに信頼を寄せるのはやめた方がいいでしょう。


それを踏まえた上で、お子さんを塾に通わせようとする目的からその属性(学習習慣をつけるためなのか受験対策なのか等)がまず絞られます。

それが定まれば、春休み中には様々な“販促”イベントが開催されていますから、どの塾にするかを見極めるには非常に良い機会となるはずです。


いくつか体験してみて、どの教科でも良いので、お子さん自身が気に入った講師がいれば、まずはそこを糸口としてみるといいでしょう。

大切なことは、もし通うことにした場合に、その講師にお子さんが実際に担当してもらえるか否かです。

塾側は、イベント開催で新たな生徒を多数獲得したい訳ですから、当然それに適した講師を起用します。
実際にそこで授業を担当している場合がほとんどでしょうが、中にはピンポイント的にしか来ていない場合もあるので、必ず確認しましょう。


また、年齢的にまだお子さんの判断に任せるのが難しい場合はなおのこと、保護者がイベントの様子を観察できるものが好ましいです。

自分の授業に自信のある講師ならば、保護者が居ようが居まいが気にしないはずですから、できるだけ頼んでみるといいと思います。

教室のスペース的に難しかったり、お子さん本人が親が見ていること自体を嫌がったりしている場合は、実際に授業を担当する講師と三者面談を行ってください。

とにかく、お子さんが前向きに臨んでくれそうか、講師の指導方法や方針に保護者として納得がいくか等を徹底的に見極めましょう。


そして、担当してもらうことが可能なお気に入りの講師が見つかったならば、まずはその講師の授業のみ申し込んでみましょう。

とりあえずの腹積もりだとしても、申し込む際には、「3教科まとめて申し込んだ方が割安になりますよ…」などと運営サイドからしつこく勧められるでしょうが、あくまで塾選びが目的ですので、ブレずにお気に入りの講師の授業のみに絞りましょう。

体験授業という形式で無料で何回か受けられる場合もありますし、“とにかく一度試してみるだけ!”ぐらいのつもりで、肩肘張らず最初はゆる~く始めてみましょう。

1~2カ月授業を受けてみれば、お子さんの勉強への姿勢の変化であるとか、塾側の対応や生徒たちの雰囲気も大体わかってくるでしょうから、その時点で本格的に継続させるか否かを判断すればいいと思います。


塾選びには、決して安くはない費用の問題が大きく影響してくるでしょうし、通っただけの成果が得られる保証のようなものとしての塾の知名度や合格実績も気になると思います。

しかし本質的には、たとえ一人でも、
「お子さんが心から信頼してついていける講師がいるかいないか」
こそが、真の成果が得られるか否かに関わってくると思います。



※なお、参考までにお伝えしておくと、塾で最上位クラスを担当している講師は、その塾がまさに推している講師で、最難関校合格に導くだけの技量と実績を持ち合わせています。

しかし教える側からすると、いわゆる“できる子”の方が授業を気持ちよく行いやすいので、教える技量としてはそれほど高度なものは要求されません(教える内容は高度ですが)。

反対に、最下位クラスの子たちにしっかり教えることは、誰にでもできることではなく、教える技量が真に問われます。

もっとも、その塾の運営スタンスにもよるので一概には言えませんが、「最下位クラス担当だから大したことない講師だろう…」と思ってしまうのは早合点でしょう。