数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

競技によって異なる「ラインの内外」をめぐる規定

最近様々なスポーツ競技において、日本代表の活躍が華々しいこともあり、“にわかファン”もかなり増えてきていることでしょう。
 
きっかけはともあれ、そこから本格的なファンになって、各スポーツ競技を支えていってほしいと思います。
 
 
何らかの競技を行う場合、必ず前提としてその実施ルールが厳格に定められていますね。
 
勝負事なので当然ですね。
(※数学の問題を解くに当たっても、共通認識としての厳格なルールが存在するからこそ、「正解か否か」が正しく判定できる訳ですね。)
 
今回のサッカー日本代表のスペイン戦においても、ルールを正しく把握していなければ、
「田中のゴール認定は誤審では?」
と思う人も多いでしょう。
 
サッカーにおいては、
「ラインの外側の境界からボールが完全に外に出ていない限りはインフィールドのボール」
と見なされます。
(※ゴールラインにおいてもボールが完全にラインを超えないと得点とはなりません。)
 
例えば十年前ならば、審判の目だけに頼らざるを得なかったので、今回のような
「“ボールが接地しているポイント”はラインの完全に外側にあるようなギリギリのボール」
がどう判定されるかは、その場の運次第なところもあったでしょう。
 
現在は「ホークアイ」という映像判定に加えて、今回から採用された“ボール内蔵チップ”によって、ボールの位置がコンマ何ミリのレベルで判定が可能だそうです。
 
ですから、「VAR」によって田中のゴールが認定されることになり、最終的にはその認定のおかげで日本の歴史的勝利となった訳です。
 
最早、人間の目では判定しきれないところで勝負が決まるレベルまできてしまったので、スポーツ競技においてもAIなどの技術は不可欠となってしまいましたね(大相撲もビデオ判定が活用されています)。
 
 
今回のような「ラインの内外」規定は、競技によって異なります。
 
ラグビーでは、「ライン自体を含まないラインの内側がフィールド」となるので、例えばボールキャリアーが少しでも白線を踏んでしまえば、ボールがフィールドの外に出たことになります。
 
アメリカンフットボールでも、ボールがほんの少しでもエンドゾーンの白線にかかれば(空中でも)、タッチダウンとなり得点が入ることになります。
 
“にわかファン”にとっては混乱でしかないとは思いますが、ある競技に興味を抱いたならば、次はその実施ルールも詳しく調べてみると、興味の奥行きが増してくると思いますよ。
 
 
さて、数学に内容を戻すと、今回のことは
「球の正射影」
つまり、
「平面幾何の円問題」
に関連づけることができるでしょう。
 
サッカーで言えば、
「ボールのグラウンドへの正射影が白線の外側のラインに接していてもインフィールド」
というような表現となりますね。
 
 
 
【問題】
点A(-6,0),B(0,-2),C(c,0)を通る円がある(c>0)。
この円とy軸との交点でBと異なる点をD(0,d)とし、直線ABと直線CDとの交点をEとする。
(1)dをcを用いた式で表せ。
(2)AE:CEを最も簡単な整数の比で表せ。
(3)△CBEの面積が7のとき、cの値を求めよ。
 
 
 
【解説】
(1)
原点をOとすると、
「△OAD∽△OBC
より、
「OA×OC=OB×OD」
となるので、
∴d=3c
 
(2)
「△EAD∽△ECB」
より、
「AE:CE=AD:CB=√(36+d×d):√(4+c×c)」
となり、(1)を用いて、
AE:CE=3:1
 
(3)
(2)より、
「△CBE:△ADE=1:9」
となるので、
「四角形=(6+c)(2+d)/2=56」
つまり、
「(3c-10)(c+10)=0」
で、c>0より
∴c=10/3
 
(2022専大附属