数学カフェjr.

「知っておいてほしい」又は「ちょっとオモシロイ」初等数学を、高校受験をする又は中高一貫校在学の中学生を中心に、小学生~大人の方に向けてお伝えしていきます。

「受験算数」で整数を扱う場合の“節度”

前々回においても触れたように、小学生の段階では「式の扱い方」についての未習部分が多いので、整数問題を解かせるのであれば、ある程度の“節度”をもった内容にしておく必要がありますね。
 
つまり、
「小学生でも使える効率的な解法が存在する」
か、
「ゴリゴリ求める必要があっても節度ある範囲に収まっている」
ことに留意しておくべきでしょう。
 
時間を気にする必要がなければ、整数問題を解くことは小学生にとっても難しいことではないので、特に入試で出題する場合は、そこであまりに時間をかけさせることに意義はないはずです。
 
出題者サイドとしては、ゴリゴリ解いてほしくない内容にすることが多いと思うので、ある程度それに対処するための設定上の配慮が必要になってくることは理解できます。
 
しかし、ゴリゴリ解くしかないような出題内容で、やたらと時間をかけさせるような設定にすることに対しては、出題者の“意地の悪さ”しか感じられません。
 
 
例えば、今年の西暦年数は
「2023=7×17×17」
となることから、
「2023は2+0+2+3=7の倍数」
であることに着目した入試問題を、作成したくなった学校も少なからずあったことと思います。
 
そこで、次のような問題があったとしましょう。
 
 
【問題】
2001~2050の整数において、
「その整数が各桁の数の和で割り切れるときの商」
を考える。
例えば、
「2023は2+0+2+3=7で割り切れ、商は289」
である。
上記の50個の整数において、「商の最小値および最大値」を求めよ。
 
 
まず基本方針としては、
各桁の数の和が大きくなるほど商は小さくなる」
ことと、
各桁の数の和が小さくなるほど商は大きくなる」
ことから攻めていくことになりますね。
 
なぜなら、
「最小の2001と最大の2050との差はその整数自身の大きさに比して考慮するに値しないくらい小さい」
からですね。
 
ここで、与条件から
「各桁の数の和は3~15」
とわかるので、小さい方から検討していくと、
「2010/(2+0+1+0)=670」
がすぐに求まるので、
∴商の最大値は670
 
一方、各桁の数の和が大きい方から検討していくと、
「15の場合は1パターンあるが不可」
「14の場合は2パターンあるが不可」
「13の場合は3パターンあるが不可」…
といつまでも現れません。
 
例えば、
「13の倍数」
の判定法はありますが、理解するには中学生以上の知識が必要ですし、小学生が覚えておくべき内容でもありません。
 
で、くじけずゴリゴリ求めていった受験生のみが、
「2019/(2+0+1+9)→不可」
「2028/(2+0+2+8)=169→やっと見つかる!」
ということで、
∴商の最小値は169
 
 
「商の最大値」を求めさせる方の設問については、
「2001/(2+0+0+1)=667」
としてしまうケアレスミスも考えられることから、まぁアリだと思います。
 
一方、「商の最小値」を求めさせる方の設問は、実際に出題されたか否かは別にして、入試問題としては内容的に良くない部類に入るでしょう。